💿️The Beatles - Beatles for Sale (full album) - YouTube
ビートルズのアルバムの中で比較的影が薄いアルバムその2です。しかし、個人的にはこのジャケット大好きです。一番いいかもしれません。考えてみれば「リボルバー」より前の時期はアルバム単位で聴いていなかったように思います。特に日本では大きく異なる英米盤の両方が発売されたり、いろんなコンピ盤があったりしたので、曲も重なってるし、訳が分からない状況でした。いかにもアルバムが重視されていない感じがしたものです。その中でも英国オリジナル盤でありながらも、映画でもなくデビュー盤でもないこの作品はより一層影が薄かったです。収録曲も大ヒット曲は「エイト・デイズ・ア・ウィーク」のみですし、あまり聴いた覚えがありません。てゆーか、見たことなかったかも。この作品はレコード会社の希望でクリスマス商戦に間に合わせようと前作からわずかに5か月での発売になりました。しかもツアーの合間を縫っての録音です。曲作りは間に合わず、オリジナル曲は8曲、全14曲が決まりのようなので、残り6曲をカバーで埋めています。超特大ウルトラ大人気が故に、やっつけ仕事を強いられたわけですが、さすがに歴史を変えた人々は違います。前作に比べてもサウンドが変わりました。一言で言えばより洗練されました。
🎦The Beatles - Eight Days A Week - YouTube
アイドルからの脱皮という人もいます。少し落ち着いたサウンドになっています。より凝ったサウンド、より凝った録音です。使っている楽器もティンパニーやらアフリカン・ドラムやら、「ワーズ・オブ・ラブ」では段ボール(?)などが加わりました。ジャケットを開くと各楽曲を誰が歌っているか詳細に書いてあります。「ジョンのダブル・トラック」だとか、「ジョンとポール、時々ジョージ」とか。こだわりポイントだったんでしょう。よく言われるようにカントリー風味があります。ジョージがギターを持ち替えたことが音としては大きいのでしょうが、ここはやはりアメリカ・ツアーの影響でしょう。もう一つ言えば、アメリカでボブ・ディランと親交を深めたことが他の側面も含めて大きな意味をもっていると思います。アイドルから見ればフォークの神様は眩しかったことでしょう。歌詞が内省的になり始めたのもそうです。「アイム・ア・ルーザー」はジョンがディランを意識して作った曲だとされています。フォーク・ロックの誕生は翌年ですから、両者は相互に影響を与え合っていたということですね。本作品も英国では初登場1位のまま9週間、間をおいて6週間首位をキープするという大ヒットになりました。みんなの人気者という大変な重圧をものともせず、勢いで突っ走るだけではなく、音楽的な成熟を成し遂げようとしていながら、こうして大ヒットを飛ばす。本当に凄いなぁと思います。
Beatles For Sale / The Beatles (1964 Parlophone)