montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

サイモンとガーファンクル 明日に架ける橋 (2019-3)

f:id:montana_sf16:20220316182355j:image💿️Bridge Over Troubled Water - YouTube

「卒業」でアカデミー監督賞を受賞したマイク・ニコルスはよほどアート・ガーファンクルのことを気に入ったのか、映画🎬️「キャッチ22」に重要な役で起用しました。この監督はポール・サイモンの新曲を却下したり、同映画への出演も拒んだりとなぜか彼には厳しい。面白いです。(←なして?🙄) アートは映画撮影が忙しくて、本作の収録にあたっては不在がちだったそうです。そんなこともあって、このデュオは本作収録後しばらくたって活動を休止してしまいます。そんな時期に制作されたことは本作に凄味を与えているように思います。「明日に架ける橋」は1970年1月にリリースされると、米国や英国を始め、数多くの国でヒットチャートを制しました。ここ日本でも翌年のことですが、オリコンのアルバム・チャートで7週連続1位を獲得するという恐ろしいアルバムになりました。1970年代には、最も売れたアルバムは何かという問いに対し、ビートルズの「サージェント・ペッパー」と並んで「明日に架ける橋」の名前が挙がるくらいに世界的な大ヒットとなっていました。とにかく売れに売れた作品だと言えます。特にアルバム・タイトルとなった「明日に架ける橋」は久しぶりにアート・ガーファンクルの透明度の高いボーカルが、ゴスペル調の曲を彩り、混迷の1960年代に辟易としていた人々に希望の灯を燈しました。時代を感じるオーケストレーションも懐かしい名曲です。「明日に架ける橋」は冒頭に置かれ、続いてロス・インカスのオリジナル演奏に英語詞をつけたまさかのフォルクローレ「コンドルは飛んで行く」が出てきます。このことに象徴されるように、前作と比べると本作ははるかにバラエティーに富んでいます。通常の楽器音ではないサウンドを用いた「愛しのセシリア」、ロック調の「キープ・ザ・カスタマー・サティスファイド」、ボサ・ノヴァっぽい「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」でA面が終わります。

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f:id:montana_sf16:20240126161025j:image🎦サイモン&ガーファンクル 明日に架ける橋 【Live】(日本語訳付) - YouTube

🎦Simon & Garfunkel - The Boxer (from The Concert in Central Park) - YouTube

一曲一曲演奏にも工夫が凝らされており、同じような曲は一つもありません。B面はシングル・ヒット曲「ボクサー」から始まります。曲調は違いますが、前作の「アメリカ」と共通する雰囲気の曲です。間奏のシンセのような音がクラフトワークに少し似てるというのが久々に聴いてみての発見です。(← 個人的感想です) ムードも似ています。さらにホットロッド調の「ベイビー・ドライバー」にバラードの「ニューヨークの少年」、ジャマイカへの憧れを音にしたような「手紙が欲しい」、エヴァリー・ブラザーズへのオマージュでもある「バイ・バイ・ラヴ」、そしてS&Gの終わりを告げるポールの一人弾き語りで幕を閉じます。いかようにも楽しむことができるのが特大ヒットの秘訣だったんでしょう。ポール自身はアルバムとしてのまとまりに欠けると考えているようですけど、あまりカチッとまとまるよりも、こ-してとっ散らかった方がインパクトは大きいです。もはや自身の音楽がどんどん広がっていってS&Gの名によって枠をハメられなくなってしまったポールと、ザ・ボーカリストのアート。幼馴染の二人の絡み合った音楽人生がいよいよ別れようとする時の最後の火花がとてつもなく大きな花火になった、そんな作品です。

Bridge Over Troubled Water / Simon & Garfunkel (1970 Columbia)