💿️The Stone Roses - Second Coming - YouTube
いきなり個人的な話になりますが、1980年代終盤辺りは仕事の関係から試験(資格取得)やら何やらありまして「音楽」そのものに触れる機会がやや減ってしまいました。そんな時期、特に英国における「マッドチェスター」の盛り上がりには完全に取り残されてしまいました。ストーン・ローゼズはハッピー・マンデーズとともにシーンの中核だっただけに、その名を聞くといつもどこか後ろめたい気持ちになります。ローゼズは1990年代の英国ロックの方向性を決定づけたとされるカリスマ・バンドです。1989年のデビュー・アルバムはシーンに大きな衝撃を与えました。そのファースト・アルバムから5年と7カ月もの長い期間を隔てて発表された2枚目がこの作品です。5年を超える歳月は、世間の期待を否が応にも膨らませてしまいました。本国である英国はもちろんのこと、ここ日本でもその熱は大きくなっていました。それが証拠にこの日本盤CDのライナーノーツは凄いことになっています。筆者は増井修氏、「ロッキン・オン」の人です。アーティストは、「まず、打ちのめされ、次に恐らく作品や音楽に対する抜本的な姿勢を問い直されるハメになるだろう。そしてミュージック・チャートの表層を追っかけまわしていたリスナーは、まるで目が覚めたかのようにその虚しさを痛感してしまうのではないか。」まさにスーパースターの待望の一作です。こういう熱い記事に接するたびに、ぼーっと生きてきたことに対して、悔やんでも悔やみきれない気持になります。自分もお祭りに参加したかったなぁと切に思います。ちょうどロンドン・パンクの盛り上がりに近い。
増井さんは本作がチャートの１位になることは間違いないと予言されていますが、残念ながらイギリスでも5位どまりでした。デビュー盤が凄いことになっただけに、ただでさえ難しい2枚目に時間をかけすぎてしまったのが災いしたのでしょうか。この5年間にオアシスやブラーが出てきて、ブリット・ポップは何度目かの黄金時代を迎えます。オアシスなどはローゼズの影響を素直に認めていますから、ローゼズがブリット・ポップ隆盛に貢献したことは事実ですが、果実を享受することはできませんでした。皮肉なものです。彼らの音楽は、1980年代後半に花開いたアシッド・ハウスとビートルズやストーンズ風の年代物ロックを融合させた、新しいロックというところが通り相場です。身も蓋もない言い方をすれば、ダンスっぽいリズムのロックです。この2作目はレッド・ツェッペリンの影響を強く受けたと言われています。バーズと比較されたデビュー作と比べてみると、確かにハード・ロック仕様になっていますし、その大物バンドぶりがツェッペリンを思わせないではありません。アルバムとしてのまとまりも増しましたし、ちょっとヘロヘロしていた前作とはかなり変わって、強烈なグルーヴ感が醸し出されています。しかし、相変わらず昔からロックを聴いている者にとっては、とても聴きやすいのも事実で、流麗なギターなどは申し分ないですがBGM的にとても気持がいいです。そうした意味で、前作にも増してつかめそうでつかめないもどかしさが残ります。とても聴きやすいサウンドであるからこそ、その底にある微妙な差異が何なのか。もう少しのところでとらえどころがないようにも思われる不思議なサウンドです。
Second Coming / The Stone Roses (1994 Geffen)
※参考🎦 The Stone Roses - I Wanna Be Adored (Official Video) - YouTube
