montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

チック・コリア&ゲイリー・ バートン クリスタル・サ イレンス (2013―11)

f:id:montana_sf16:20230123170538j:image f:id:montana_sf16:20230123170555j:image💿️【Chick Corea & Gary Burton】The New Crystal Silence - YouTube

🎦Chick Corea & Gary Burton - Crystal Silence - YouTube

「透明感」って何でしょう。デジタル大辞泉によれば「物体の、透きとおった感じ」「濁りがなく明るい感じ」とあります。後者は少しニュアンスが違うような気もしますネ。このアルバムを聴くと、つい「透明感」という言葉を使ってみたくなります。題名のクリスタルはもちろん透明ですし、沈黙も透明と言えば透明、要するに題名からして透明ですから、心おきなく使えるというものです。さらにゲイリー・バートンヴィブラフォン奏者です。ヴィブラフォンのイメージは、ガラスを叩いて響く濁りのない音、という透明度の高いものです。さらに硬質です。背筋がきりっとするひやっこい音です。そこにチック・コリアのピアノが響きます。ピアノは、ギターほどではありませんが、その響きを猥雑にしようと思えばできます。透明とは対極にある濁った生々しさです。しかし、クラシックにも造詣の深いコリアさんのピアノはここでも硬質で透明な音です。この作品は、同じECMレーベルに所属していた二人が、レーベル・オーナーのマンフレッド・アイヒャーさんにかき口説かれて録音した作品だということです。

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共演したことはあった二人ですが、こんな楽器のデュオでアルバムを一枚作るなんて思いもつかないことだったようです。そういうことをこだわりなくやってしまえるところがECMの真骨頂です。自分は、昔からジャズのレーベル買いをするならインカスかECMとしてました。またジャケットが美しいです。靄がかかって透明ではないのですが、空気のひんやり感はよく出ています。チック・コリアゲイリー・バートンは二人ともスタン・ゲッツ・グループの出身です。ゲッツと言えばジルベルト、ボサノヴァをジャズ界に取り入れた第一人者です。このアルバムにボサノヴァ感があるわけではありませんが、そこはかとなく漂うエキゾチックな要素はゲッツ仕込かもしれません。紹介するのは冒頭の一曲「セニョール・マウス」←※注)です。これはチック・コリアのオリジナルでメキシコの漫画の主人公にちなんだものということで、スパニッシュな響きがします。この曲に代表されるように、結構、音数が多いアルバムです。硬質で透明感の高い音というのは、静寂を強調することがあるのですけれども、二人の演奏はそうではありません。音の数が少なくとも、時間は響きで豊かに埋め尽くされています。そこに優しい哀感や躍動する無邪気さが感じられます。というわけで、静かな夜に聴くにはもってこいのアルバムだと思います。

※注:残念ながら動画は削除されてしまいました。😭😭😭

Crystal Silence / Chick Corea & Gary Burton (1973 ECM)

参考⇒🎦Chick Corea & Gary Burton - Jazzwoche Burghausen 2011 - YouTube