💿️Accept No Substitute - YouTube
デラニー&ボニーのタイトルでこのジャケットが来ると、「明日に向かって撃て」とか「俺達に明日はない」を思い浮かべます。時代は違いますけど、どちらもディープ・アメリカン。このアルバムもその点は共通していて、アメリカの中のアメリカを感じます。自分が洋楽を聴き始めたのは1970年代前半のことでした。すでにその頃から、デラニー&ボニーはロックの歴史を語る上で見逃すことのできない重要人物として教科書的な形で抜群の知名度を誇っていました。ロック検定の必須項目です。とりわけ、ジョージ・ハリソンを経由してエリック・クラプトンに大きな影響を与えたことが必ず特筆されます。クラプトンは米国にわたり、デラニー&ボニー&フレンズとなり、さらに「いとしのレイラ」のデレク&ザ・ドミノスへと繋がっていきます。自分も早々にそんな知識だけは仕入れましたけど、デラニー&ボニーの音楽を聴くのは随分時間が経ってからでした。そんな過去の体験と、デラニー&ボニーを巡る状況はあまり変わっていません。変わったのはクラプトンの知名度が昔ほどではないことくらいでしょう。デラニー&ボニーは、ブルースにはまってロサンゼルスで音楽活動をしていたデラニー・ブラムレットと、アイク&ティナ・ターナーのアイケッツの初めての白人メンバーだったボニー・リン・オファーレルが出会って1週間で結婚して誕生したデュオです。当初はオーティス・レディングのスタックスと契約して、ブッカーT&MGズをバックにアルバムを制作しましたがお蔵入りしています。その後、エレクトラ・レコードと新たに契約を交わして制作したのがこの作品です。
🎦"When The Battle Is Over" Delaney & Bonnie (Bramlett) - YouTube
なお、この評判がよかったために前作も陽の目を見ました。ふり返ると、参加しているアーティストは、サザン・ロック、カントリー・ロック、スワンプ・ロックのオールスターズとも言える面々です。スーパースター、レオン・ラッセルを始め、ストーンズでお馴染みボビー・キース、クラプトンとのコラボで有名なカール・レイドル。さらに、ビートルズのメンバーとの共演から有名となったジム・ケルトナーや、大看板の一人リタ・クーリッジまで。ドクター・ジョンも曲を提供しています。このメンバー表を眺めるだけで、本作の歴史的な重要性が分かるというものです。デラニー&ボニーは、スタックスからのデビューでも分かるように、ブルースを基調としたアメリカ南部の音楽をやっています。彼らが白人であると思わなかった人も多かったようです。とはいえ、制作順から言えば2枚目となるこのアルバムはカントリー色も強いです。ゴスペル、ソウル、カントリーをニュー・オーリンズでミキサーにかけて、出てきたロック・サウンドがこれだと言えます。ルーツの探求という意味ではザ・バンドともシンクロしますが、こちらはレオンやボニーの存在でもう少しキラキラしています。自分はどちらかといえばデラニーよりもボニーの歌が好みです。ドクター・ジョンの「闘いの終わる時」や「老人」でのボニーのボーカルは素敵です。クラプトンも惚れたサウンドはちょうど良いアメリカンぶりで、外国人には聴きやすいところもポイントが高いです。
Accept No Substitute / Delaney & Bonnie (1969 Elektra)
参考:🎦Delaney, Bonnie & Friends (feat. Eric Clapton) Poor Elijah (1969) - YouTube