montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

オーティス・レディング オーティス・ブルー (2018―5)

f:id:montana_sf16:20230909170737j:image💿️Otis Redding - Otis Blue - YouTube

ジェリー・ウェクスラーのアトランティック・レコードとジム・スチュワートのスタックス・レコードはウェクスラーのメンフィス訪問時に正式に提携契約を結ぶことになります。のんびりした話です。その時のウェクスラーの最大の関心事はオーティス・レディングとの再契約でした。ウェクスラーにとってオーティスこそがスタックスでした。それほどまでにオーティスの存在が大きくなっていたということです。前作の後に発表したバラードの名曲「愛しすぎて」がR&Bチャートで2位になる大ヒットもしていたことも大きいです。「愛しすぎて」はカーティス・メイフィールドのインプレッションズにいたジェリー・バトラーの曲をオーティスが完成させたもので、オーティスのバラードの中では一二を争う人気曲です。ためのあるボーカルが胸に響きます。この成功をさらに強固なものにすべく、LPの制作を企てたアトランティックは、ジム・スチュワートのエンジニアリングに不安を覚えてエンジニアのトム・ダウドをスタックスに派遣します。そしてわずか一日のセッションで出来上がったのがこのアルバムです。超特急で制作されたにも係わらず、このアルバムはオーティス・レディングの代表作になりました。明らかに前作とはグレードが違うサウンドになっているのは、トム・ダウドの貢献が極めて大きいと言えます。素晴らしいサウンドです。バックを務めるのはスティーヴ・クロッパーやアイザック・ヘイズを含むブッカー・T&ザ・MGズを中心とするスタックスのハウス・バンドです。

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f:id:montana_sf16:20230909172240j:image f:id:montana_sf16:20230909172433j:image f:id:montana_sf16:20230909172404j:image🎦Otis Redding LIVE - My Girl/Respect - '66 - HQ - YouTube

この演奏もダウドのエンジニアリングのおかげでその素晴らしさが際立っています。特にアル・ジャクソン・ジュニアのドラムとドナルド・ダック・ダンのベースによるリズム・セクションがこれまでになく前に出てきており、オーティス自身の身体から湧き出てくるリズムとシンクロして圧倒的な迫力です。これは凄い。オリジナル曲は「愛しすぎて」の他に、「オール・マン・トラブル」と人気曲「リスペクト」と3曲のみ。「リスペクト」は♪ガッタ・ガッタ♪全開のパワフルな名曲です。いずれも純粋にオーティス作とは言えないところがやや寂しいですか。カバー曲は充実しています。ストーンズの「サティスファクション」、テンプテーションズの「マイ・ガール」、サム・クックの「シェイク」などの有名曲がオーティスの手によって曲の魅力はそのまま、完璧にオーティスの曲になっています。「オーティスが入ってくるとスタックス・スタジオがライトアップされるんだ」とダック・ダン。「オーティスは他の誰よりも俺たちの力を引き出す。信じられない創造のスパークなんだ」。バンドの高揚感が伝わってきます。オーティスは自らプロデューサーの役割を担い、バンドから最高のパフォーマンスを引き出すとともに、二つとない声で歌いまくります。歌声に複雑なリズムが埋め込まれており、さすがに不世出の大歌手は違うなあと感動します。オーティスの一つの完成をみた作品です。

Otis Blue / Otis Redding Sings Soul / Otis Redding (1965 Volt)

参照:"Otis Redding : An Unfinished Life" Jonathan Gould