montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

エコー&ザ・バニーメン ヘヴン・アップ・ヒアー (2013―10)

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Echo And The Bunnymen - Heaven Up Here (Expanded & Remastered) (Full Album) - YouTube

とにかく素晴らしいジャケットでした。マンチェスターに負けないリバプールの意気込みを感じます。LPサイズだと圧巻です。このジャケットを眺めながら、大きな音で聴いたものです。エコー&ザ・バニーメンのセカンド・アルバム「ヘヴン・アップ・ヒアー」です。勢いのあるデビュー作で成功への足がかりをつかんだエコー&ザ・バニーメンは満を持して本作品を発表しました。「寸分の隙もない緊張感が漲る『エコー&ザ・バニーメン』待望のセカンド・アルバム!!」というわけです。確かに日本でも期待は高かったです。この作品はバニーメンの思春期の傑作であると思います。彼らは次のアルバムでまた一回り大きくなりますから、本作品は彼らが大人になる前の作品という風情があります。思春期と申し上げたのはそのせいでもありますが、サウンドも思春期っぽいです。手足だけがやたらと長い思春期の子どもたちのように、どこかバランスが崩れている気がします。前作よりはサウンドに工夫が凝らされていて、自分たちが本当にやりたい音楽はこれだ、と気合が入っているのですが、やや気持ちが先走りしている感じも受けます。気持ちが先走ると自己陶酔感が強く出てくることになります。本人だけがとにかく深刻。しかし、そここそが思春期の魅力です。同時代の若者だった頃には大いに共振したものですが、すでに人生の折り返しを迎えて聴くと少し気恥ずかしいです。その意味ではとても愛おしいです。前作に比べ、より耽美的でダークかつサイケデリックになりました。当時の言葉ではありませんが、ネオ・サイケです。

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f:id:montana_sf16:20230504191229j:image🎦Echo And The Bunnymen • Show of Strength • 1981 - YouTube

🎦Echo & the Bunnymen - A Promise - YouTube

時にジョイ・ディヴィジョンの名作「クローサー」に比肩されたりもしました。共通項はヴェルヴェット・アンダーグラウンドでしょうか。ボーカルのイアン・マッカロクは、このアルバム制作時には「ずっとヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『ホワット・ゴーズ・オン』が頭の中で鳴っていた」と語っています。サウンド面ではヴェルヴェッツの影響が強いようです。ドアーズよりもヴェルヴェッツです。「淡い光の中に透明感あふれる木霊が響き渡る」と帯の煽り文句がいい味を出しています。「気高いヴォーカル、シンプルなリズム・セクション、陰影に富んだメロディの絶妙な融合によりネオ・サイケデリアの境地に達したクールで繊細な問題作」なんです。つまり、何かそういうことを書いてみたくなるアルバムです。冷たくて、暗くて、湿ったサウンド薄暮の似合う音楽、陰影礼賛したくなる音楽です。この後、彼らはさまざまな魅力を見せてくれることになりますが、後の世への影響ということでは本作品が一番ではないでしょうか。自分は本作品では特にA面が気に入って、そこばかり聴いていました。「ショウ・オブ・ストレングス」から最後の「プロミス」まで、まるで一続きのエコバニ劇場でした。一方、人気の高い「ジンボ」の改作「オール・マイ・カラーズ」がB面なので実はこちらも外せません。要するに傑作。この頃、エコー&ザ・バニーメンのライバルとされていたのはU2でした。今から振り返るとまるで意味のない比較ですが、自分も当時は気になっていました。あれよあれよと世界的バンドになったU2に比べると、英国ローカルを貫いたエコバニを愛おしく感じたものでした。

Heaven Up Here / Echo & the Bunnymen (1981 Korova)