montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

フランク・ザッパ フリーク・アウト (2011―2)

f:id:montana_sf16:20220628015438j:image💿️Freak Out! - Frank Zappa - YouTube

自分はこれまでいろんな音楽をそれこそ節操なく聴いてきましたが、では一番好きなアーティストはだれか?。と聴かれれば、迷うことなく『フランク・ザッパ』と答えます。彼の音楽はとても純粋です。音楽以外の夾雑物は何もないです。感傷的でもなく、押しつけがましくもない。全てを忘れて昇天できます。フランク・ザッパは1940年12月21日に合衆国のメリーランド州ボルティモアで生まれました。その後、カリフォルニアで育った彼は17歳くらいから地元でバンド活動を開始します。そして、1966年にマザーズ・オブ・インヴェンションを率いてレコード・デビューを果たします。それがこの「フリーク・アウト!」です。ホッピー神山氏はザッパが後に発表する夥しい作品に現れる要素はすべてここにあると指摘しました。作家、稲垣足穂は生涯を処女作「一千一秒物語」の解釈に費やしたと言われていますが、そんな話を思い出させます。それも一理ですが、この作品は二枚目以降とは明らかに録音が違います。時代の境目がそこにあるような感覚です。二枚目以降がクリアな音なのに対して、こちらはくぐもったような音ですし、リズム・セクションやギターの音も随分と異なります。機材の問題が大きいでしょう。プロデューサーはトム・ウィルソンです。彼は、ディランやヴェルヴェッツも手掛けていた時代を先取りする眼を持っていた人です。ジャケットに残る彼の言葉は「STRAIGHT AHEAD!」。商業性皆無のバンドに、この言葉。素晴らしい人です。

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アルバム中の楽曲は、R&Bやドゥー・ワップ、ロック、サウンド・コラージュと実に多彩です。後にライブでおなじみになる名曲(「トラブル・エヴリデイ」とか)も多いですし、流れるようなメロディー・ラインを持った美しい曲(「エニー・ウェイ・ザ・ウィンド・ブロウズ」とか)もあります。いきなり二枚組となっていますが、最後のD面は「ヘルプ・アイム・ア・ロック」に始まる何でもありの前衛的なサウンドです。しかし、そんな曲でも構造がとても美しいです。歌詞や歌はとても猥雑なのですが、それもひっくるめて、とても美しいと思います。ロック界初のコンセプト・アルバムとも言われ、ビートルズの「サージェント・ペパーズ」に影響を与えたと言われていますが、正直その辺のコトはよく分かりません。全体に統一感はありますが、何か明確なコンセプトがあったようにも思えません。なんたってデビュー盤ですから。それより、ぐちゃぐちゃな曲「フー・アー・ザ・ブレイン・ポリス」はパンタのバンド、頭脳警察の名付け親です。その曲を始め、一曲一曲のインパクトが大きいので、あまり大きなコンセプトに思い至らないのかもしれません。商業的には成功しませんでしたが、多くの人の注目を集めたことは確かです。日本でも中村とうよう氏や植草甚一先生が絶賛しています。植草先生は音楽を絶賛しながら、ザッパのことを「グロテスクな容貌」だとしつこいくらいに書いていらっしゃいます。おかしいです。後に展開される目くるめく展開を思う時、常に出発点として参照される作品です。それがデビュー・アルバムだと言われればそれまでですが、ここで繰り広げられている猥雑な万華鏡サウンドはやはり過去も未来も凝縮しているかのようです。

Freak Out! / The Mothers of Invention (1966 Verve) #001