montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

シカゴ シカゴ Ⅰ シカゴの軌跡 (2017―4)

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f:id:montana_sf16:20230912180030j:image🎦Chicago Transit Authority (album) - YouTube

いきなり二枚組でデビューしたアーティストと言えば、フランク・ザッパマザーズとシカゴが思い浮かびます。この事実だけで両者ともに端倪すべからざるものがあるアーティストであることが分かります。この当時、二枚組は事件でした。「シカゴ・トランジット・オーソリティー」と題されたこの作品がシカゴのデビュー作です。全米チャートでの最高位は17位ですが、何と3年以上にわたってチャート入りしていたんだそうです。二枚組が3年以上。そして、当時のFM放送局の多くがこの二枚組をコマーシャルの中断なしで全部流したということです。1969年という時代背景とともに、こうしたシカゴ伝説に触れる時、当時の若者がいかにシカゴの音楽に真剣に耳を傾けたか、思いを馳せてしまいます。後にポップ路線に進む彼らですけども、この頃のシカゴは明らかに時代を切り開いていく開拓者でした。「これほどまで『ジャズ』と『ロック』を融合させた音楽があるだろうか!」と当時の帯は叫んでいます。「ニュー・ロック界を我が物顔で独走するニュー・グループ」登場です。このように、しばしばシカゴはジャズ・ロックと言われます。これは7人組シカゴの3人が管楽器を扱うからです。単にそれだけの話で、つまりホーンがあればジャズという思い込みに過ぎません。サウンドを聴けば彼らが純然たるロック・バンドであることが分かります。その意味ではブラス・ロックの方が正しいです。そのブラス・ロックはやはり新鮮でした。改めて聴き直しても新鮮に響きます。

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f:id:montana_sf16:20230913082554j:image🎦Chicago - "Questions 67 & 68" - YouTube

ブラス・ロックでは、ブラッド・スウェット&ティアーズなどの先達はいたものの、確かにシカゴがパイオニアでした。シカゴは全員がシカゴ育ちで、バンド活動もシカゴで始めましたが、ほどなくロスアンジェルスにベースを移してレコード・デビューを果たします。そして、この伝説のデビュー作は、ニューヨークのスタジオで、ほぼ一発録音されています。全員が音楽教育を受けていて、「僕らが一緒に曲を演奏しだすと、それぞれのメンバーたちが身につけてきたものが、自然と現れてくる。そこには、あらかじめ決められたことなど、何もなかった」。トランペットのリー・ロックネンの言葉に勢いを感じます。トロンボーンのジェイムズ・パンコウは、「僕らのホーン・セクションは、メロディックな音が実際のヴォーカルに寄り添うアプローチの仕方なんだ」と、ロックンロール・バンドにホーンが独特の手法で入るサウンドの秘密を語っています。なるほど。一方、ギターのテリー・キャスによるジミヘンばりの「フリー・フォーム・ギター」なる曲が目を惹きます。まさに曲のタイトル通りなんですが、結構端正なフリー・フォームです。シカゴは全体に端正なんです。折り目正しさが迫力となっているサウンドです。忘れてならないのは、1968年8月の反戦デモと警官隊の衝突をテーマにした組曲です。メインをインストにしたところに彼らの強靭な姿勢を感じます。この世界との向き合い方が60年代シカゴのシリアスな姿勢を遺憾なく表していました。見事なデビューでした。

Chicago Transit Authority / Chicago (1969 Columbia)