montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

TOTO 宇宙の騎士 (2020―1)

f:id:montana_sf16:20230805012930j:image🎦Toto - YouTube

TOTOのデビュー・アルバムは1978年の発表です。英国のパンク/ニュー・ウェイブに夢中になっていた自分にとって、TOTOは敵のような存在でした。大して楽器ができないことを良しとするパンクの価値観からすれば真逆の存在でしたから。何といってもTOTOはロサンゼルスを中心に活動する一流スタジオ・ミュージシャンたちによって結成されたバンドです。デビュー・アルバムを発表するまでに、数多くの名作にその名を刻んでおり、すでにキャリアは十分すぎるほどでした。バンド結成の直接のきっかけは、高校時代のバンドメイト、デヴィッド・ペイチジェフ・ポーカロボズ・スキャッグスの名作「シルク・ディグリーズ」で顔を合わせたことだそうで、そこに高校を同じくするスティーヴ・ルカサーとスティーヴ・ポーカロが加わります。さらにベースのデヴィッド・ハンゲイトとボーカルのボビー・キンボールが加わって6人組としてのスタートです。レコード会社はコロンビア・レコード、デビュー作のプロデュースはTOTO自身。デビューではありますが、スタジオ経験豊富な人たちだけにスムースだった模様です。このデビュー・アルバムからは、「ホールド・ザ・ライン」が全米チャートで5位となる大ヒットを記録し、アルバム自体も9位、200万枚を売る大ヒットです。音楽業界では名が通っていた人たちが、期待通りの結果を出したわけですから天晴です。

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f:id:montana_sf16:20230805012442j:image f:id:montana_sf16:20230805012455j:image f:id:montana_sf16:20230805012515j:image🎦Toto - Hold The Line (Official Video) - YouTube

ここ日本ではまずバンド名が話題になりました。何といってもTOTOは当時の東陶機器株式会社、今のTOTO株式会社が便器などに使っていたロゴとして知らぬ者は日本にはいなかったわけですから。当時はバンド名を巡ってさまざまな憶測が流れたものです。そうやって本人たちの与り知らぬところで話題になったのですが、実は彼らはとても日本人好みのサウンドを奏でていることがすぐに知れ渡ります。パンクにうつつを抜かす自分を尻目に楽器ができる友人たちはこぞってTOTOのファンになっていました。本作品は「宇宙の騎士」という邦題がつけられました。TOTOのままでは売りにくいと思ったのでしょう。二人のキーボード・プレイヤーのスペイシーなサウンド・メイクと、分厚いボーカルが、ジャケットの宇宙イメージを増幅させていたことからすれば自然な題名です。曲は「シルク・ディグリーズ」で「ロウダウン」などをボズと共作していたデヴィッド・ペイチが大半を書いています。さすがというべきか、どの曲もよく出来ています。スタジオ・ミュージシャンは曲作りが苦手なイメージがありますが、そんなことはありません。サウンドはアダルト・オリエンティッド・ロック、AORそのものです。AORとはどんなサウンドかと言われればこんなサウンドです。彼らこそがジャンルを創ったといっても過言ではありません。AORと呼ばれるアルバムには大たいTOTOの誰かが参加していますから。緻密な音作りによるソウルフルでジャズのセンスも織り込んだポップなロックが彼らの身上で、当時は毛嫌いしていた自分の耳にも染みついていることが分かります。何でもできる達者な人たちによるこれといった瑕のない大したアルバムです。

TOTO / TOTO (1978 Columbia)