montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ソニー・クラーク クール・ストラッティン(2020-4)

f:id:montana_sf16:20210917073626j:image f:id:montana_sf16:20230520152806j:image💿️Sonny Clark, Cool Struttin' - YouTube

思わず松田優作さんが過るのは私だけでしょうか…🤔 ジャズ・ファンの間では型番の「1588」だけで通るといわれるジャズ・クラシックスです。「ジャズ・ファンを虜にした哀愁のメロディが詰まったベストセラー。ブルージーなピアノ、美しい『足ジャケット』など、すべてが最高水準を行く決定盤」とジャケ帯が熱いです。何といってもこのジャケットです。グラミー賞にジャケット部門があればぶっちぎりで賞を獲得していたに違いないでしょう。ブルー・ノートには素晴らしいジャケットが多いですけれども、「クール・ストラッティン」は中でも頭抜けて素晴らしいです。タイトルに出てくるストラットは「気取って歩く」という意味ですから、タイトルをそのまんま映像化したジャケットでもあります。おまけに「クール・ストラッティン」と「ソニー・クラーク」の文字も気取って歩いています。最高のジャケットです。

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ソニー・クラークは1931年生まれですから、この作品を録音した時にはまだ20代の若さです。しかし、彼は32歳で夭折してしまいますから、若い頃の作品とはいえ、後年の作品と比較できなくなってしまっているのは返す返すも残念です。ニューヨークに出てきたソニーはブルー・ノートのアルフレッド・ライオンの目にとまって、期待のピアニストとして、サイドマンとしてもリーダーとしても活躍します。共演者には、ソニー・ロリンズチャーリー・ミンガスなどの大物が並んでいます。本作品はソニーがリーダーを務めた4作目です。メンバーは前作でトリオを組んだマイルス・デイヴィスクインテットの二人、ベースのポール・チェンバースとドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズ、トランペットに旧友アート・ファーマー、そしてジャッキー・マクリーンです。ソニーはジャッキーがマイルスと演奏した最初のレコードを聴いて以来、チャーリー・パーカーの影響を受けつつも独自のスタイルをもったアルト・サックスにほれ込んでいたそうで、ここに念願かなって初の共演を果たすことになりました。アートはソニーの演奏について、「ソニーのプレイにはまったく力んだところがない。一生懸命スウィングしようと頑張っているように聞こえる演奏家も多いけれども、ソニーはただ自然に流れていくんだ」と語っています。極めて自然な気負いのない演奏。本作品のA面に並ぶソニーのオリジナル2曲はとりわけ自然体の演奏が素晴らしいです。最初のタイトル曲では、メロディーが字義通りクール・ストラッティンのようだとソニーは解説しています。ジャズ史上に残る名演はカジュアルに立ち現れてきます。続く「ブルー・マイナー」がまた素晴らしい。ソニーの作曲者としての実力のほどを見せつける名曲です。何年も温めていた曲をこのコンボで初めて録音しようと思ったそうです。気さくな切ないメロディーが強面リズムと見事に同居するカッコいい曲です。ナット・ヘントフは本作を「ソニーによるジャズにおけるソウルの定義を実現する」ものだと表現します。自分のソウルは自分の構想であり、他の誰でもない自分の内側から出てくるサウンドに宿るのだと。それがジャズの意味するもの、自己表現なんだと。まさに名盤に似合います。

Cool Struttin' / Sonny Clark (1958 Blue Note)