montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

アリス・クーパー 地獄へ行く (2011―1)

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💿️Alice Cooper Goes to Hell - YouTube

アリス・クーパーは今度は地獄へ行くことになりました。「悪夢へようこそ」の続き物の体裁をとっていて、前作でも登場したスティーブン君のベッド・サイド・ストーリーとなっています。もうこれは真正ミュージカルです。ちょこちょこっと脚本を書き足せば、そのまま舞台にかけることができそうな作品です。ロック・ミュージカルといえば、71年に「ジーザス・クライスト・スーパースター」、そしてきっとアリスの影響を受けていると推測される「ロッキー・ホラー・ショー」の舞台が73年です。ここらあたりは影響のキャッチボールだったんじゃないかと思われます。確証はありませんけど。しかし、当時は日本ではまだまだミュージカルとロックは縁遠い存在だったと思います。まあこれは自分が小~中学生だったからかもしれませんが、ウィキペディアによれば劇団四季のメジャーへの転機となったのは79年の「コーラスライン」からだそうですから、あながち間違いではなさそうです。何が言いたいかと申しますと、当時の日本にはアリス・クーパーのこうした作品をミュージカルとして楽しむ土壌がなかったということです。つまり、ショック・ロックと呼ばれたハード・ロックアリス・クーパーのイメージとは違うなと思った時に、彼の作品を消化する酵素は「日本の胃袋には存在しなかった」ということではないでしょうか。

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この作品は、前作同様、アリスとプロデューサーのボブ・エズリン、ギターのディック・ワグナーが中心になった作品で、よりタイトな楽曲が並んでいます。そして、分かりやすい歌詞と、さらりと劇的なアレンジが施されています。芸が細かいですし、ハードロックもありますが、ボードヴィル調やらなんやらで、まるでめくるめく舞台を見ているような気になってきます。特に後半はストリングスも多用していますし、曲もつながっていて、構成で聴かせる形になっています。「虹を追いつづけて」では「オーバー・ザ・レインボウ」が顔を出したりします。なかなかに力作です。自分は前作より好きです。さらにビデオを見ていただくとお分かりになる通り、前作の「血を流す女」の好評に気をよくしたアリスが今作では渾身のバラード「俺は泣かない」で、コテコテの歌手として立ち現われてきました。当時、アル中で大変なことになっていたそうですが、この曲は「アルコール懺悔」の歌となっています。演歌のようです。この作品は結構ヒットもして、「俺は泣かない」はシングルで12位、アルバムは27位と健闘しました。しかし、続くツアーは貧血のため全部キャンセルの憂き目を見てしまい、アル中三部作時代へと突入していくことになりました。ホント酒は怖いですね。

Goes To Hell / Alice Cooper (1976)