montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ピンク・フロイド ザ・ウォール (2012-3)

f:id:montana_sf16:20210909155552j:image💿️The Wall - YouTube

ズバリ☝️、ロック・オペラです。ロック・オペラの傑作と言えば、ザ・フーの「トミー」やジェネシスの「幻惑のブロードウェイ」などがありますが、ストーリーの雰囲気が何となく似てるんですよネー。ま、スターの考えることは似てくるんでしょう。ピンク・フロイドの11枚目のアルバムは二枚組の超大作となりました。二枚組としては史上最高の売り上げを誇るそうです。競っているのはビートルズの赤盤です。さすがに「狂気」と肩を並べるところまではいきませんが、それでも15週間全米1位を続け、アメリカだけで1000万枚以上を売るという超ウルトラ・メガヒットとなっています。加えて、「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール・パート2」がシングル・カットされて1位をとっています。

f:id:montana_sf16:20210909155636j:image f:id:montana_sf16:20220131050521j:image

しかし、日本ではあまりウケがよくありません。オリコンでも16位どまりでした。これでも大したものですが、おそらく「ピンク・フロイドのアルバムは全部買う」という人だけが買ったという数字では?🤔 ま~、シングル曲もありますから、そうとばかりは言えませんけど。売り上げだけではなくて、日本ではロック評論家の間で高い評価が得られませんでした。たとえばレコード・コレクターズ誌では小野島大氏がパンクと比べて「音楽は現実の重さに負けている」「大仰なメッセージは、いかにも冗長でアウト・オブ・デイトだった」と述べています。今さらながら自分も、発売当時はパンク直後の時代でしたから、恐竜ピンク・フロイドの作品として少し遠目で見ていたことは白状します。しかし、そうでなくとも、ザ・プログレピンク・フロイド像からはかなり遠くに来てますし、ミュージカルを見る習慣がまだまだ日本には乏しかったですから、なかなか当時は理解しにくかったのではないかと思います。久しぶりに聴いてみると、自分も何となくミュージカルの楽しみが分かるようになりましたから、実はとても素晴らしい作品であったということを再度発見しました。ミュージカルとして聴くと、全体の流れはとてもスムーズですが、筋立てが分かりにくいところが難点です。ロック・オペラは抽象度の高い歌詞だけで筋を表そうとするので、どうしても無理があります。だって、主人公の名前はピンクでロック・スターだなんてかなり進まないと分かりませんから?🤔 ↑(ネタバレ🙏💦)

f:id:montana_sf16:20220131052550j:image f:id:montana_sf16:20220131053922j:image

コンセプト自体は、ロック・オペラによくある疎外感をテーマにしたもので、それなりに重いテーマです。歌詞はストーリーを語るところまではいきませんが、それなりに具体的で直截です。ところどころ気になるフレーズがあって、聴く人は取捨選択しながらその人なりにメッセージを受け止めていくことになります。サウンドは、もうロジャー・ウォーターズの独壇場です。今回はボーカルがこれまでの作品とは違います。もやーっと加工せずに生の声を聴かせますから、随分、感じが違います。ギルモアのクレジットは3曲、特に「カムフォータブリー・ナム」でのギター・ソロはなかなか出色の出来です。面白いのは今回プロデューサーに起用したボブ・エズリンとの共作曲「ザ・トライアル」です。これはかなりのミュージカル仕立てです。彼はアリス・クーパールー・リードを手掛けた人ですが、そういえば、作品全体がどことなくルー・リードのロック・オペラ「ベルリン」を思わせます。もはや幻想的なプログレサウンドではなく、構成力を存分にいかして、何でも使うぞという姿勢です。子どものコーラスなんかも出てきて素敵です。全体に重いテーマを揺蕩うようなゆったりとしたペースで進めていきますから、重厚感がハンパないです。

f:id:montana_sf16:20210909155737j:image f:id:montana_sf16:20210909155750j:image🎦Пинк Флойд - Стена / Pink Floyd - The Wall (1982) (трейлер) - YouTube

しかし、どうしてアメリカでこのアルバムがそんなに売れたんでしょうネ…?🤔 能天気なアメリカ人という思い込みがガラガラと音をたてて崩れていきます。ま、実社会におけるストレスはかなり強いんでしょうネ。なにしろ重い重い作品です。どうぞ心して聴いてくださいませ…😔

The Wall / Pink Floyd (1979 Harvest)

参照:レコード・コレクターズ1993年3月号