montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ピンク・フロイド 狂気 (2012-3)

f:id:montana_sf16:20240301014845j:image f:id:montana_sf16:20230324003529j:image💿️The Dark Side of the Moon - YouTube

もう何も言う事がありません。ピンク・フロイドのみならず、全ロック史を代表する超名盤です。何しろよく売れました。全世界で5000万枚売れたと言われています。買った人が年に一度聴いたとすると、一日に14万回近く演奏されている計算になります。どの瞬間をとってみても世界のどこかで「狂気」が鳴っている。狂気のなりやむ時なし。売り上げだけならばマイケルの「スリラー」など、いくつか「狂気」を上回る作品はありますが、この作品の凄いところはその持久力です。アメリカのビルボードでは741週間、実に15年以上にわたってチャート・インするというロング・セラーのギネス記録を打ち立てています。LPからCDへの移行時にはドイツに狂気専用のCD工場が建てられたと聞いています。発売当時は英国でこそ1位を逃したものの、フランスやベルギーなど世界各国で1位を獲得しました。

f:id:montana_sf16:20210824141408j:image f:id:montana_sf16:20210824141435j:image

ここ日本でも「アグネス・チャンを蹴落として1位になった」のだと思っていましたが、本当は天地真理には勝てずに2位止まりだった由。このあたり面白おかしく語られるので真相はよく分かりません。ストリップ劇場でもよくかかったそうです。突然の大ヒットです。前作までアメリカでは目立ったヒットはなかったのに突然巨大なヒットになりました。メンバーもさぞかし面喰ったことでしょう。アルバムは最初から最後まで全10曲に分かれていますが、切れ目なく繋がっています。心臓の鼓動に始まって鼓動に終わるなど、アルバム全体で一つの作品になっています。「おせっかい」や「原子心母」のような大作+小品ではありません。そもそもスタジオ入りする半年くらい前からツアーで演奏されて、次第に形が整えられ、スタジオ入りして8か月。長い時間をかけて完成した練りに練った作品です。しつこいくらいの完成度の追求です。「狂気」とはそのことかもしれません。サウンドは、いつものフロイドで、半端ない構成力で聴かせます。それぞれの個性とか演奏技術に依拠しない集団幻想的なほわほわした雰囲気が素晴らしい。ゆったりとしていて、音数が多いようで少ない。面白いです。

f:id:montana_sf16:20220128031152j:image f:id:montana_sf16:20220128031323j:image f:id:montana_sf16:20220128031337j:image🎦Pink Floyd - The Dark Side of The Moon Live 1972 / 73 - YouTube

プログレッシブ・ロックの金字塔として、彼らのサウンドがジャンルの定義にもなっていますから、そこで判断を停止してしまいそうです。しかし、このアルバムの全体像は、普通の意味でのロックからは程遠い気がします。ピンク・フロイドは名前をブルースのミュージシャンからとっていますが、もはやブルース臭は全然しませんし、ストーンズのようなグルーブをロックの特徴とするならば、彼らはロックとは言えそうにありません。むしろ、評論家の中山康樹さんがおっしゃる通り、この当時勃興していた西海岸のシンガー・ソング・ライター勢の感性や発想とそれほど変わるものではないと思います。中山さんは、最終的に全く別種の音楽になっているとおっしゃっていますが、出来上がりもそんなに違っていないのではないかと思います。そう考えれば、アメリカで突然売れたことも合点がいきます。評論家の小野島大さんによれば「内なる狂気を暴くシリアスな表現者集団」であるピンク・フロイドから、英国雑誌曰く「ロジャー・ウォーターズの鬱陶しい馬面」を象徴するような作品が生まれ、それが大いに売れたわけで、ロック・ファンにとっては大いに考えさせられます。しかし、ここは四の五の言わずに迷いのない純粋な評価を下したストリップ小屋の親父の感性を見習うべき… カモ?🤔

The Dark Side Of The Moon / Pink Floyd (1973 Harvest)

Pink Floyd(ピンク・フロイド)|不滅の名盤『狂気(The Dark Side Of The Moon)』50周年記念デラックス・ボックス&全曲演奏ライヴ盤『Live At Wembley Empire Pool, London, 1974』 - TOWER RECORDS ONLINE