montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ジェネシス フォックストロット (2012―10)

f:id:montana_sf16:20240212105644j:image💿️Genesis - Foxtrot (Official Full Album) - YouTube

カリスマ・レコードのオーナー、トニー・ストラットン・スミスを感激で涙させたというジェネシスのキャリアを確立した名盤が4枚目のアルバムとなる本作品「フォックストロット」です。前作から約1年、本格的なツアーを経て完成させたアルバムです。スミスでなくても、ピーター・ガブリエル在籍時のジェネシスサウンドと言われると本作品を思い浮かべます。とりわけ、B面の大半を占める22分にわたる大曲「サパーズ・レディ」のジェネシス史におけるインパクトは大きいものがあります。前作からはまずプロデューサーがジョン・アンソニーからキャラバンの名作「グレイとピンクの地」を手がけたデイヴ・ヒッチコックに変わりました。アンソニーもカリスマの仲間たちを手掛けていますが、ヒッチコックの方がよりプログレ的な志向が強いです。メンバーは前作と同じで、輝ける五人組です。メンバーが定まってから本格的なツアーを経た2枚目ですから、バンドの結束はより高まっていたでしょうし、メンバーそれぞれが思う存分その個性を発揮しだしました。自信に満ちあふれている様子です。フォックストロットは言うまでもなくダンスのステップの名前ですけど、ジェネシスらしくキツネ、さらには英国貴族の遊びであるキツネ狩りに発想を飛ばしたジャケットになりました。この写真ではよく分かりませんけど、開くとキツネ狩りの貴族たちが表れます。前作に引き続きポール・ホワイトヘッドの手になるジャケットで、いかにも英国的ではあるのですが、いかんせんこの半分だけではややインパクトに欠けます。メンバーの間でも評判が悪く、結局彼が手掛けるジェネシス・ジャケットはこれが最後になりました。ま、そんなことにはかかわりなく、サウンドは充実しています。

f:id:montana_sf16:20230207050825j:image f:id:montana_sf16:20240212110904j:image 
f:id:montana_sf16:20230207050838j:image f:id:montana_sf16:20240212110430j:image f:id:montana_sf16:20240212110522j:image f:id:montana_sf16:20230207085544j:image f:id:montana_sf16:20230207085559j:image🎦Watcher of The Skies - Genesis | The Midnight Special - YouTube

一曲目の「ワッチャー・オブ・ザ・スカイ」はキング・クリムゾンから譲り受けたというメロトロンで始まります。見事なプログレ宣言といえるでしょう。タイトルは19世紀の詩人ジョン・キーツソネットからとられています。それを皮切りにガブリエルのボーカルはより表情豊かになり、演劇的になってきていますし、スティーヴ・ハケットのギターはリリカルな12弦から荒々しいエレキギターまで多彩ですし、トニー・バンクスのオルガンやメロトロンもこれまで以上にプログレしています。それを支えるマイク・ラザフォードフィル・コリンズのリズム隊はしっかりとタイトです。こうした壮大なサウンドはリズム・セクションがしっかりしていないと茫洋としてまとまりが失せるものですが、この二人はさすがにびしっと背骨を通しています。そして最後の「サパーズ・レディ」です。7つのパートに分かれる組曲は聖書を題材にした壮大な物語を、奥行きのあるサウンドと、一人舞台に立っているかのようなガブリエルのボーカルが複雑な構成でめくるめく展開を見せていく、まさにザ・プログレといえる大曲です。この作品は英国でもチャート入りしましたが、イタリアではチャート1位に輝いています。何の不思議もありません。ジェネシスサウンドは英国的でありながら、ヨーロッパ大陸プログレと大変親和性が高いです。ジェネシス初期の大傑作です。

Foxtrot / Genesis (1972 Charisma)