montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ジェネシス 怪奇骨董音楽箱 (2012―10)

f:id:montana_sf16:20231130130324j:image💿️Nursery Cryme - Genesis - Full Album - 1971 - YouTube

ジェネシスの3枚目のアルバム「怪奇骨董音楽箱」には、いよいよ黄金のラインナップが勢ぞろいしました。いわば第一期黄金時代の到来です。まだ本作品では商業的にブレイクしたわけではありませんけど、彼らの人気とともに後にじわじわと再評価されます。「侵入」の制作が終わった後、ツアーにストレスを感じていたアンソニー・フィリップスが脱退します。アンソニーの12弦ギターはそれまでのジェネシスサウンドに大きな位置を占めていましたから大変です。一方、ドラムのジョン・メイヒューは実力が伴わずに解雇されました。その代わりに加入したのが、まずはフィル・コリンズです。そしてしばらく四人組としてツアーした後にギターのスティーヴ・ハケットが加入します。つまり、この五人が誰もが知るジェネシスです。後にメンバーが減ったりしますけど、それも5人の中の話です。本作品は5人組となり、さらに演奏力が格段に向上したジェネシスプログレッシブ・ロック・バンドとして早くも本領を発揮したアルバムです。前作に引き続いてポール・ホワイトヘッドによるジャケットが奮っています。このイメージがまさにジェネシスです。原題は「ナーサリー・クライム」で、ナーサリーライムとクライム(罪)をかけ合わせた言葉です。ナーサリーライムといえば英国ではまずマザー・グースです。マザー・グースの歌の数々は英国人気質を形作った今に生きる童謡です。英国人なら誰もが知っています。ちなみに邦題の「怪奇骨董音楽箱」は1曲目の「怪奇のオルゴール」から採られています。原題を「ミュージカル・ボックス」というこの曲は、マザーグースの「コールの王様」が引用されています。おそらくイギリス人ならわざわざ言われなくても分かるのでしょうネ。歌詞には直接出てきませんが、歌詞カードには女の子が男の子の頭をクリケットのバットで吹っ飛ばすというジャケット絵にある通りのストーリーが説明されています。その頭がオルゴールの中から発見されるので「怪奇のオルゴール」、すなわち「怪奇骨董音楽箱」です。

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f:id:montana_sf16:20230207160944j:image f:id:montana_sf16:20230207160954j:image🎦Genesis - The Musical Box , Belgian TV - Six Hours Live 2DVD Set - YouTube

本作品はそんな消息が醸し出す、どんよりとした空の英国がてんこ盛りです。この頃のジェネシスナーサリーライムの世界をロックで表現することを目指しているかのようなプログレッシブなバンドでした。それをしっかりと実行に移すことができたのが本作品です。トニー・バンクスハモンド・オルガンに加え、ハケットの勧めでメロトロンを導入しており、サウンドが俄然奥行きあるものになりました。フィリップスが脱退した本作でも12弦ギターは健在ですけど、ハケットは攻撃的なギターも聴かせ、これがいい味をだしています。曲の構造は複雑となり、ピーター・ガブリエルの演劇的なボーカルがそれに輪をかけていきます。コリンズは格段にタイトなリズムを叩きだすとともに、ガブリエルに似たボーカルをきかせ、早くもリードをとる曲が表れました。これぞジェネシスです。素晴らしいです。本作品は英国ではさほど売れませんでしたけど、ヨーロッパ大陸で人気を呼び、特にプログレ王国イタリアではチャート入りしています。複雑な構成の曲ばかりのトータルなアルバムにメロトロンが活躍するわけですから、イタリアで受けるのは納得です。

Nursery Cryme / Genesis (1971 Charisma)