💿️From Genesis to Revelation - YouTube
真っ黒の地に「創世記から黙示録まで」とタイトルを描いただけのシンプルなジャケットに包まれたジェネシスのデビュー作品です。ただし、このアルバムにはこのオリジナル・ジャケット以外に何種類もジャケットが存在します。それもあって、自分にとっては謎のアルバムでした。この作品は全く売れず、ジェネシスとレーベルとの契約も打ち切られますから、普通であればそのまま消えていってもおかしくないアルバムでした。しかし、誰もが知る通り、後にジェネシスはビッグなバンドになりましたから、後追いで何度も復活することになりました。レーベルも違うのでコントロールもきかず、何度もジャケットを変えては再発されました。ですから、本当にデビュー作品なのか、よくある発掘ものなのか、それとも初期のコンピなのかとよく分からなかったのが正直なところです。ま、真剣に調べようとしなかったわけですけど。。🙄 ジェネシスはロンドン近郊のサレー州にあるチャーターハウスという名門パブリック・スクールに通う生徒たちが結成した二つのバンドが合体してできたバンドです。日本に置き換えれば寮中心ということでラサール高校の学生さんが作ったバンドとなりますかね。メンバーはボーカルのピーター・ガブリエル、キーボードのトニー・バンクス、ギターのアンソニー・フィリップス、ベースのマイク・ラザフォードの四人とドラムのクリス・スチュワートです。しばらく出入りのあったドラムを除く4人は音楽界に大きな足跡を残すことになります。
彼らはデモ・テープを制作すると、デッカ・レコードに送ります。そこには学校の先輩だったジョナサン・キングがいました。キングは後にベイ・シティ・ローラーズを手がけるなど、英国音楽界の重要人物です。キングは後輩たちの演奏を気に入り、そうそうに契約を交わします。プロとしてのステージ経験を持たないまだ学生のバンドとの契約は異例でしょう。それだけキングに見る目があったともいえますが、結局デッカで制作した本作品が売れなかっただけで契約は終了するわけですから、まあ見る目がある説は所詮は後知恵でしかありません。本作品「創世記」は2枚のシングル盤の後に発表されています。その間にドラムのクリスは音楽の道に見切りをつけてしまいます。優等生ですから進路には困らないでしょう。本作品では代わりにジョン・シルヴァーが加入してドラムをたたいています。ジェネシスといえば英国5大プログレッシブ・ロック・バンドの一つとして名高いですけど、本作品のサウンドを聴く限りにおいては、プログレらしいところはほとんどありません。フィリップスのギターを中心とするトラッド的なサウンドが持ち味でした。とはいえ「創世記から黙示録まで」というタイトルや聖書の物語を絡めた各楽曲の成り立ちなどからはプログレの香りが漂います。奇抜な格好で学校のステージに立っていたという話とあわせ、すでにガブリエルの個性がその片鱗をのぞかせているということでしょう。1960年代末ごろの典型的なサウンドで、個人的にはザ・バーズなどを思い出しました。キングに気に入られようとビージーズのようなサウンドを追及したという話も聞こえてきます。それでもこの若さ溢れるさわやかな作品に彼らの才能と実力の片りんを探すのは容易です。