montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

デヴィッド・ボウイ ロウ (2016―2)

f:id:montana_sf16:20240114142918j:image💿️David Bowie - Low (1977) - YouTube

英国ではパンクが盛り上がっていた頃、ボウイはニュー・ウェイブを先取りする作品を発表しました。ボウイの数ある変身譚の中でも、最も衝撃的な変身ぶりに世の中の評価は大きく分かれたものです。ボウイはコカイン依存からの脱却を図るために、ドイツはベルリンに活動拠点を移しました。当時はまだ東西冷戦の最中で壁が厳然とそびえたっていた頃です。その壁の近くにあるハンザ・スタジオが今回のアルバム制作の拠点となりました。ジャケットはデビルマンを思い出すのですが、これは前作に引き続いて「地球に落ちてきた男」のワンカットです。「ロウ」は何よりもこの印象的なオレンジの空の印象が強いです。アルバム中の問題曲「ワルシャワの幻想」はこの色です。制作陣ではトニー・ヴィスコンティがプロデューサーに復帰しました。そして、最も大きな変化をもたらしたのはブライアン・イーノの参加です。その活躍ぶりは、よくイーノがプロデューサーであるかのように誤解されるほどです。バンドは前作とほぼ同じメンバーですし、サウンドが180度変わったと言うわけではありません。むしろよく聴くと前作とは地続きです。しかし、基本的にはインストゥルメンタルなこの作品のB面の印象が強すぎます。そことこれまでとを比べると大変身です。よく言われるのはドイツのプログレ勢の影響です。~続⤵️

f:id:montana_sf16:20240114145148j:image f:id:montana_sf16:20240114145211j:image f:id:montana_sf16:20240114145253j:image f:id:montana_sf16:20240114145326j:image f:id:montana_sf16:20240114145312j:image f:id:montana_sf16:20240114145355j:image
f:id:montana_sf16:20240114145414j:image🎦David Bowie - Sound And Vision • TopPop - YouTube

🎦DAVID BOWIE - SOUND AND VISION - LIVE TOKYO 1990 - YouTube

当時、すでにクラスターなどと近い関係にあったイーノを通じてということもあったでしょうし、直接タンジェリン・ドリームクラフトワークから影響を受けたということもあったでしょう。一般的なポップ・ソングとは異なるインストゥルメンタル曲ばかりなので、その点はジャーマン・プログレ系と同じではあります。しかし、音の感触は必ずしもジャーマン勢と同じではありません。イーノの作品と地続きなサウンドはブリティッシュの香りを強くします。ドイツで発見したブリティッシュではないでしょうか。シン・ホワイト・デュークはやはりどこまでもイギリス人です。このサウンドはジャパンを始めとするニュー・ウェイブ勢に大きな影響を与えています。太い水脈になっていると言えるでしょう。一方、A面の方は、短い曲が次々に繰り出されていきます。脱力系の「スピード・オブ・ライフ」や、イギー・ポップも参加している落ち着いた名曲「サウンド・アンド・ヴィジョン」など、さながら見本市のようです。「地球に落ちてきた男」のサントラとなることを期待して作った曲もあるようです。重苦しい雰囲気が映画に合わないとして没になったそうですが、そういうことならB面の動機も分かるというものです。パンク時代ですから、ボウイなどは真っ先に若者の攻撃の対象になっても良かったところですが、こうして当時の先端を行く創造的な作品を発表することで、むしろパンクの先駆けであったことを思い知らせた名盤です。

Low / David Bowie (1977 RCA)