montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ビートルズ プリーズ・プリーズ・ミー (2013-4) 

f:id:montana_sf16:20220322073446j:image f:id:montana_sf16:20220322080711j:image💿️The Beatles - Please Please Me (1963 - Full Album) - YouTube

「この作品はビートルズのデビュー作にして最高傑作。ビートルズが他のバンドに真似ができない偉大なところは、ピークから落ちていく速度が極めて緩やかであったことだ」これは30年前に本屋で立ち読みしたある音楽評論家のアルバム評です。何とも恐ろしい批評だったので、強烈に印象に残っています。音楽評論家生命をかけたとても勇気ある批評だと思います。とはいえ書いたお方の名前を失念してしまいました。やはり評論家生命を絶たれてしまわれたのでしょうか。後期ビートルズの絢爛豪華な作品群を尻目にこのデビュー作を最高傑作と断じるのはとても勇気がいることです。物事を何でも勝ち負けでとらえ、人生というものは梯子を上るか下りるかしかないと見る、そのおめでたい世界観はさておき、その勇気には敬服いたします。この作品でのビートルズは、心底嬉しそうに楽器を演奏し、そして歌っています。そこが大きな魅力です。デビュー・アルバムというものは多かれ少なかれそうした初心の魅力があるものですが、この作品はその中でも頭抜けています。それは恐らく、今、我々が知っている「ロック」がこの作品で誕生した、すなわち「ロック」という音楽全体のデビュー・アルバムだということなのではないでしょうか。

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f:id:montana_sf16:20220322082007j:image f:id:montana_sf16:20220322081945j:image🎦The Beatles - Please Please Me - YouTube

🎦THE BEATLES BEST PERFORMANCE EVER - YouTube

ビートルズの大成功以降は、「ロック」にもスター街道が出現しました。デビューする若者もスターを目指すにせよ、目指さないにせよ、全くそういうことにとらわれずに音楽に打ち込むことは難しくなりました。この作品でのビートルズは、そんなことなど頭を掠めることすらなく、全く虚心坦懐に演奏を繰り広げているように思います。デビュー・アルバムの中のデビュー・アルバムですね。勢いが凄いです。当たり前のことですが、初心の魅力という物差しで図れば、この作品が彼らの最高傑作です。しかし、ビートルズはこの後、次々と違った魅力の花を咲かせていきます。どの花が一番だと言ってみても詮無いほどの大輪ぞろいです。ただ、先の評論家の肩をもつわけではありませんが、ビートルズの楽曲の中で一番好きな曲は何かとアンケートをとると、表題曲の「プリーズ・プリーズ・ミー」や、アルバムには入っていないものの同時期の曲である「シー・ラブズ・ユー」、「抱きしめたい」といった初期の傑作が並びます。アルバムを語る人々は、ビートルズの音楽的な成熟を尊び、初期の名曲を愛でる人々はその初心の魅力に恋をしているといえるかもしれません。そしてビートルズ人気を支えているのは後者の人々でしょう。「初心忘るるべからず」。世阿弥の言葉は、初心にしか出せない魅力を忘れるでないということです。ややこしいことにならずに、ビートルズにはいつまでもこんな歌を歌っていてほしかったと思っている人々も多いのではないでしょうか。

Please Please Me / The Beatles (1963)

業界人が「売れない」と断言したビートルズの逆襲 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter11 | 読書 | 東洋経済オンライン