montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

デフ・レパード ヒステリア (2017-6)

f:id:montana_sf16:20220430111402j:image f:id:montana_sf16:20220430111219j:image🎦Hysteria - YouTube

デフ・レパードのモンスター・アルバムです。全12曲中なんと7曲がシングル・カットされており、そのうち4曲が全米トップ10、「ラヴ・バイツ」に至っては全米1位に輝いています。アルバムも2500万枚を売り上げるウルトラ特大ヒット・アルバムです。彼らの場合、前作にあたる「パイロマニア」も1000万枚を超えるヒットになっていますから、まるで唐突というわけではありませんが、それにしても桁違いの売上です。メタル・ファン以外にも支持を広げなければこの数字は叩きだせません。実際、発売当初は従来からのファンは若干戸惑いを隠せなかったようです。全曲をシングル・カットすることを目標に、各楽曲は緻密に練り上げられたキャッチーな曲に仕上がっていますから、ヘビー・メタルの標準からすると、かなりポップ偏差値が高い..。

f:id:montana_sf16:20220430111828j:image f:id:montana_sf16:20220430111924j:image f:id:montana_sf16:20220430111912j:image  f:id:montana_sf16:20220430112002j:image f:id:montana_sf16:20220430112023j:image🎦DEF LEPPARD - "Hysteria" (Official Music Video) - YouTube

デフ・レパードポスト・パンク期の1978年に英国で誕生したヘビメタ・バンドです。ツアーを通じて着実に人気を得ていったバンドは1983年の「パイロマニア」で大ブレイクし、その勢いをそのままにこのアルバムの制作にかかりました。しかし、翌年の暮れにドラマーのリック・アレンが交通事故にあって左腕を失うという悲劇に見舞われます。この事情はライナーノーツにも、インナー・スリーブにもはっきりとは書かれていません。同情を買いたくないということなのではないかと思います。ともあれ、彼らはドラム・キットを工夫することで、アレンをドラマーに据えたまま、アルバム制作を続けます。前作のプロデュースを担当したロバート・マッド・ランジは、当初プロデュースを断りましたが、結局は制作途上でプロデューサーに復帰します。その事情もあって、アルバムが出来上がるまでに3年以上を費やしています。ボーカルのジョー・エリオットは「200万枚売れても、まだ赤字」なほど製作費がかかったと語っています。もはやこうなると毒皿で徹底的な作り込みが行われることになります。さすがに2500万枚は伊達ではありません。確かに、全曲シングルにしてもおかしくないくらいの力作が並んでいます。それぞれに起承転結があり、完成品として独り立ちできる曲ばかりです。全米1位の「ラヴ・バイツ」のドラマチックな美しさ。ヘビー・メタルという先入観で聴くと違和感を感じます。全体にサウンドシンセサイザー基調です。サンプリングして再構成しているらしいドラムはもちろん、ベースもボーカルもギターも、シンセを通しているわけではありませんけど、音色がそっち寄りになってます。それにメロディーがキャッチーですし、楽器のソロがさほど長くない。力強いバリバリのハード・ロックを達者な演奏で聴かせるのですが、ポップさが際立っています。その際立ち方が凄いので、とにかく聴きどころ満載です。個人的にはタイトル曲が一番好きです。全米10位とやや遜色あるけれど、こういったブリティッシュなメロディーをもったシンプルかつポップな曲にこのアルバムの魅力が凝縮していると思います。さすがにモンスター・アルバムだけのことはあります。

デフ・レパード『Hysteria』解説:2,500万枚も売り上げた80年代の名盤