montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ブルー・チアー ファース ト・アルバム(2016―4)

f:id:montana_sf16:20230918164350j:image💿️Vincebus Eruptum - YouTube

ヘヴィ・メタル元祖とも言われる轟音サウンドで人気を博したブルー・チア―衝撃のデビュー作!」です。洗剤の名前かと思ってしまう爽やかなバンド名ですが、LSDの一種の通称だそうで、とてもサイケデリックなネーミングなのでした。ブルー・チア―は1966年にサンフランシスコで結成されています。サイケデリック真っただ中です。当初はバイオリンなども含む6人組でしたけれど、モントレー・ポップ・フェスティヴァルでジミ・ヘンドリックスのステージを目の当たりにして宗旨替えをします。ジミのエクスペリアンスと同じ3人組として再出発をしたんです。ベースとボーカルにリチャード・ピーターソン、ギターにリー・ステファンズ、ドラムにポール・ウィアリーという3人組で、運のよいことにフィリップス・レコードとすぐに契約を結び、デビュー作を制作します。プロデュースはサンフランシスコで有名だったDJが担当して、ハリウッドのアミーゴ・スタジオで制作されたデビュー作が本作品「ファースト・アルバム」です。原題は「ヴィンセバス・エラプタム」ですが、どうせ似非ラテン語ですから、邦題は正解です。アルバムの冒頭にエディ・コクランの轟音カバー「サマータイム・ブルース」が配置されています。これが人々の度肝を抜きました。結果、全米チャートで14位にまで上がる大ヒットとなり、結果的にこの曲が彼らのキャリアを通じて最も有名な曲になりました。針を下ろした瞬間に飛び出すディストーションのかかった重いギター・サウンドとどんどこ鳴るドラムにぶんぶんベースは、臆面もなくジミ・ヘンドリックス的です。

f:id:montana_sf16:20230918164614j:image f:id:montana_sf16:20230918164642j:image 
f:id:montana_sf16:20230918164658j:image f:id:montana_sf16:20230918164712j:image 
f:id:montana_sf16:20230918164725j:image🎦Blue Cheer - Summertime Blues (1968) - YouTube

ここまで爽やかにジミへの傾倒ぶりを表してくると、むしろとても気持ちがよいです。「サマータイム・ブルース」はビーチボーイズを始め、オリビア・ニュートン・ジョンやフライング・リザーズもカバーしていますが、ブルー・チア―の系統は、ザ・フーヴァン・ヘイレンに引き継がれていきます。この曲がハード・ロックに馴染むことを発見したのが彼らの功績です。サウンドはとにかく荒削りの轟音サウンドです。オリジナル曲に加えて、BBキングやジャズのモーズ・アリソンの曲を取り上げていますが、いずれも轟音ロックに消化しています。小さい音で鳴らしてもやかましいという轟音ロックの王道を示しています。1969年を境に録音が変わるというのが自分の持論ですが、このアルバムは1968年発表なので、ぎりぎり昔のサウンドです。どこか全体にくぐもった感じがしますし、ドラムはバタバタ鳴っています。このサウンドがブルー・チア―にはとても似合います。サイケデリックなアシッド感覚を色濃く宿した轟音サウンドは聴く者も酔わせてくれます。衝動をそのまま音にしたようなサウンドですから、聴いていると大変気持ちがよくなってきます。ジミヘンのエッセンスを消化した轟音サウンドは見事なものです。このアルバムは全米11位にまであがる大ヒットになっています。サイケデリック時代を象徴する一枚です。ヘヴィ・メタルの元祖もいいですが、同じくサイケデリッククラウト・ロックの一群の作品と並べるとちょうどおさまりが良い気がします。

Vincebus Eruptum / Blue Cheer (1968 Philips)