montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

マイケル・フランクス スリーピング・ジプシー (2012―4)

f:id:montana_sf16:20230917152601j:image💿️Sleeping Gypsy (1977) - Michael Franks - YouTube

ススンダ・ポップです。発売当時のレコード帯にそう書いてあります。「期待の新鋭マイケル・フランクスによる、ハイセンス溢れるススンダ、ポップ・アルバム第2弾!躍動するシティ・ミュージックの真の担い手のハスキー・ヴォイスに注目を!!」「ススンダ」には点が付されています。レコード会社の意気込みのほどが窺い知れます。アメリカのAOR、アダルト・オリエンテッド・ロックを代表するアーティスト、マイケル・フランクスのメジャーでのセカンド・アルバムは、日本でも大そう人気がありました。AORはジャズやソウルの影響を受けた大人向けのポップス、ただ、当時はAORというよりも、シティ・ミュージックと言う呼び方の方が多かったように記憶しています。田中康夫の「なんとなくクリスタル」に、たくさん登場しました。マイケル・フランクスももちろん含まれていましたね。この作品には、日本でやたらと人気があった「アントニオの歌」が含まれています。私もマイケル・フランクスと言えばもうこの曲。何となく、頭の中ではフレディー・アギラーの「アナク(息子)」と混同してしまっていたのですが、二つの曲は全然違います。子どもの頃、インドとドイツがごっちゃになっていた自分の個人的な混同です。アントニオは、ブラジルを代表するアーティスト、アントニオ・カルロス・ジョビンのことです。マイケルは名盤「ゲッツ・ジルベルト」の中のジョビン作品「ディサフィナード」を聴いて以来、ボサノヴァに傾倒していました。

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🎦The Lady Wants To Know - Michael Franks (1977) - YouTube

メジャー・デビュー後、ジョビンと親交をもつこととなり、彼の勧めでブラジルでのレコーディングに至ります。そうしてこの作品の2曲がブラジル録音となりました。音楽にもボサノヴァのフレーバーが溢れています。ジャジーなロックにボサノヴァの香り。おしゃれポイント高いですよね。今では鉄板の組み合わせですが、マイケルが最初ではなかったでしょうか。定かではありませんが、かなり珍しかったことは事実です。「アントニオの歌」はアメリカではシングル・カットされていませんが、日本ではシングルとしてヒットしました。日本の歌謡界にボサノヴァのブームをもたらすほど影響力が強かったんです。南沙織もカバーしていました。最近でもUAがカバーしています。ソフトでメロウ、少しウェットな哀愁のメロディーが日本人の琴線に触れたんでしょう。いい歌です。参加ミュージシャンは、多才なジャズ・フュージョン集団クルセダーズの面々にデヴィッド・サンボーンやらマイケル・ブレッカーやら、ジャズ・フュージョンを代表する腕利きばかり。素晴らしい演奏です。ストリングスのアレンジも素晴らしく、とにかく安心して聴けます。サックスやギター、ピアノのソロも張りがあって艶やかで気持ちがいいことこの上ありません。しかし、何といっても、ブラジル録音の「カレワ・ルスデス」でのブラジル参加組ジョアン・ドナートのピアノの音色が最高です。これは凄い。ところで、この曲のタイトル、カタカナで書いてありますが、日本語です。単なる邦題ですね。凝ったことをしてくれます。マイケルはハスキーな声で歌い上げることなく、大人なボーカルですべてを引き締めます。結構、ミュージシャンに自由にやらせていたようで、和気藹々と一級のお洒落なポップスが仕上がりました。なかなかいいアルバムです。

Sleeping Gypsy / Michael Franks (1977)