montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

アダム&ジ・アンツ アダムの王国 (2013―5)

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💿️Kings of the Wild Frontier (1980 Album) - YouTube

イギリスのニュー・ウェーブ界では、80年頃、ブルンジの太鼓が大いに流行りました。仕掛け人はリッチ・キッズやヴィザージュなどという当時のバンドで活躍していたラスティー・イーガンで、彼がサンプリングしてダンサブルに仕上げたのでした。自分もそのマキシ・シングルを買って、スゲーなぁと思って聴いていたものです。アダム&ジ・アンツの出世作であるこの「アダムの王国」には、そのブルンジの太鼓そっくりのドラムが使われていて、大そう驚いたものでした。ニュー・ロマンティクスという化粧した男の人たちの集団のハシリとされるアダム・アントですが、音楽的にはそこが注目だったわけです。彼らは結構数奇な運命をたどっています。アダム・アントは、セックス・ピストルズのデビュー・ギグの時にトリを務めたという嬉しいんだか悲しいんだかワケの分からないことで記録に残るパブ・ロック・バンドでプレイしていました。その後、紆余曲折を経てデビューしますが、全然ぱっとしなかったので、ピストルズの仕掛け人マルコム・マクラーレンをマネージャーに起用します。マルコムはアダムの海賊ルックを生み出したりして一応努力はしますが、何と他のバンド・メンバー全員を引き連れてアダムを置き去りにしました。ちなみに彼らは女声ボーカルのアナベラとともにバウ・ワウ・ワウを結成します。誰もがこれでアダムの命運は尽きたと思ったのですが、そこはどっこいアダムは頑張ったんです。マルコムのアイデアになる海賊ルックを最大限に生かし、音楽もおそらくマルコムの趣味だと思われるブルンジ・ドラムを使って起死回生の大ヒットを生み出すわけです。つまり、それがこの作品です。

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🎦Adam & The Ants - Kings of the Wild Frontier - YouTube

このアルバムはヴィザージュの1作目とほぼ同時期ですから、いわゆるニュー・ロマンティクスの元祖です。アクの抜けた人たちとは違って、くどくて猥雑なので少し違うように思われるかもしれませんが、マイケル・ジャクソン沢田研二にまで影響を与えたと言われるのはこちらの方です。自分は当時、ニュー・ウェーブのバンドにしては随分チャラいな~と思っていました。そうしたところが、デュラン・デュランカルチャー・クラブなんかが出てきて、世の中はそっち一色。アダムさんの先見の明に脱帽いたしました。さて、失意のアダムさんに救いの手を差し伸べたのはスージー&ザ・バンシーズにいたギターのマルコ・ピローニさん、二人で全曲を作ってこのアルバムを仕上げました。ブルンジ・ビートを導入するためにかどうか知りませんが、ツイン・ドラムスの迫力で迫ります。久しぶりに聴いてみると、ブルンジ・ビートを使った曲は、ヒットした二曲「アント・ミュージック」と「略奪の凱歌」、それに冒頭の「ドッグ・イート・ドッグ」の三曲くらいでした。むしろ、同時期に出たクラッシュの「サンディニスタ」と似た感じのごった煮感が溢れています。ラテン風味の「ロス・ランチェーロス」の他、「蟻の侵略」、さらにはタイトルまで似ている「5人の英雄」とか、やっている音楽性は幅広くて、クラッシュのやりたい放題に近い。ダブっぽいです。ポップな味付けですし、とても面白いバンドです。ただ、売り方はキャラクター先行です。レコード帯の煽り文句は「絢爛、華美、頽廃、ここは世紀末ロンドン、1981年、地球で最初の男の名前を冠した世界一美しい男、アダム・アントと彼の率いる蟻の軍団」です。際物的な雰囲気満載の大そう印象に残っているへんてこりんなバンドでした。🤭

Kings Of The Wild Frontier / Adam And The Ants (1980 Sony)