montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

パティ・スミス 牝馬 (2013―11)

f:id:montana_sf16:20231213224853j:image f:id:montana_sf16:20231213230607j:image💿️Patti Smith - Horses (1975) FULL ALBUM Vinyl Rip - YouTube

パティ・スミスはニューヨーク・パンクの女王として話題になっていると日本に紹介されました。これが当時はパンクと呼ばれていたんです。もはや意味はありませんが、歴史的事実として証言させて頂きます。この作品は、今やロックの殿堂入りを果たしたパティ・スミスのデビュー作です。プロデュースはヴェルヴェット・アンダーグラウンドジョン・ケールで、パティの詩を中心においた見事な作品に仕上げています。この作品を彼女の最高傑作という人も多いです。パティは、60年代の終わりにニューヨークに移住してから、主に詩人として活動します。やがて、伝説のガレージ・ロック・コンピ「ナゲッツ」を監修したレニー・ケイと出合うとケイの音楽をバックに詩を朗読するようになります。その後、キーボードのリチャード・ソール、ドラムのジェイ・ディ・ドゥーティー、ベーシストとしてアイヴァン・クラールを加えて5人組となり、本格的なバンド活動が始まります。そして75年に発表されたのが、このデビュー作です。サウンドガレージ・ロック的なシンプルなロックで、それをバックにパティがボーカルをとるのですが、この作品ではまだ詩の朗読的なボーカルが残っています。結果として、歌詞をじっくり聴かせる作品になってますので、自分も歌詞を片手にじっくり聴いてみました。ちなみに紙ジャケ版ブックレットの歌詞はパティの詩集とはかなり違っているのでご用心下さい。

f:id:montana_sf16:20231213230632j:image f:id:montana_sf16:20221229234124j:image f:id:montana_sf16:20221229234148j:image f:id:montana_sf16:20221229234034j:image f:id:montana_sf16:20221229234212j:image f:id:montana_sf16:20221229234057j:image🎦パティ・スミス【名曲ベストテン】PATTI SMITH Greatest 10 Songs - YouTube

最初の曲「グロリア」はヴァン・モリソンのクラシックのカバー曲です。歌詞は随分改変されていますけど、この曲は、性別や社会の枠を超えた立場で躊躇せずに、ただし責任をもって意味のあるものを創造する権利を擬人化したものだと言うことのようです。決然としてますからね。「レドンド・ビーチ」は家出をした妹リンダさんを探しにいった気持ちを綴った曲で、「キンバリー」はもう一人の妹さんの歌です。ま、比較的身近な題材をストレートに書く人なんですね。また、「ブレイク・イット・アップ」は夢の歌です。ジム・モリソンが夢に出てきたそうで、彼には羽が生えていて、その羽が大理石と一体化していて動けない。そんな情景です。そして、アルバムの白眉ともいえる「バードランド」はかなりの部分が即興だそうです。即興詩人。今ならラップの人たちがやっていることですが、当時はとても新鮮でした。どうやればこんな物語が即興で出来るんでしょうネー。詩人の才能を羨みます。また三部作となっている「ランド」はビート作家ウィリアム・バローズの「ワイルド・ボーイズ」のジョニーの直系だということです。バローズさんとパティさんは親交が深かったようです。芸術家と言えば、ジャケットを撮ったロバート・メイプルソープも忘れられません。パティさんはステージでは全裸になったりもしていて、激しいステージだったようです。しかし、サウンドはあくまでシンプルで、ビートもロンドン・パンクのタテノリではなく、昔ながらのものです。その辺がまどろっこしく感じられたのも事実で、当時はさほどヒットはしませんでした。しかし、女性の解放という意味では大きな役割を果たしましたし、詩を前面に押し出した作風は時代の波を越えて、今や押しも押されもせぬ名盤の仲間入りをしています。時とともにその魅力を増してきたアルバムと言えるでしょう。

Horses / Patti Smith (1975 Arista)