montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ザ・クラッシュ ロンド ン・コーリング(2012―11)

f:id:montana_sf16:20221215095125j:image f:id:montana_sf16:20221215123346j:image💿️The Clash - London Calling (1979 - Full Album) - YouTube

2012年の締めくくりにふさわしいロックの歴史に残るクラッシュの名盤です。ローリング・ストーン誌による「80年代最高のアルバム」に選ばれました。アメリカでの発売が80年代だったからぎりぎりセーフでしたね。クラッシュは76年に結成されました。リーダー格のジョー・ストラマーはパンクのアイコンとして多くの人を魅了しましたが、惜しいことに2002年に亡くなってしまいました。ベースのポール・シムノン、ギターのミック・ジョーンズ、ドラムスのトッパー・ヒードンを加えた四人組はカリスマ的でした。このタイトル曲はとにかく背筋が凍るほどかっこいいと思いました。実はそれまであまりクラッシュの音楽が好きではなくて、大して聴いていなかったんですが、この曲で一気に見直しました。そして、このアルバムです。それまでとは見違えるようです。しかし、このアルバム以降のクラッシュは認めないという人もいますから、人の受け止め方は様々です。パンクに思い入れが激しい人ほど引っ掛かるんでしょうネ。このアルバムに収められた楽曲の数々は、パンク原理主義とはほど遠いようにも思えますから。時代はパンクが表現の箍を打ち壊した後、何でもありの状況となったニュー・ウェーブと呼ばれる時期です。パンクそのもののクラッシュも自ら課した制約を脱して自由を謳歌しています。

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 f:id:montana_sf16:20221215123913j:image f:id:montana_sf16:20221215123758j:image f:id:montana_sf16:20221215123653j:image🎦The Clash - London Calling (Official Video) - YouTube

アルバム・カバーが秀逸です。英国の音楽誌「Q」の特別号で、ジャケットに使われた写真がロックン・ロール・フォトグラフの傑作100枚の中の頂点に輝きました。素晴らしい写真ばかりです。写したのはペニー・スミスという女性写真家で、クラッシュのアメリカ・ツアーに同行していました。この夜はたまたまいつもと違うサイドに立っていて、目の前でポール・シムノンがお気に入りのギターを叩き壊すシーンに遭遇したということです。怖かったので若干ピンボケになってしまったため、ジャケットに使われるのに反対したそうです。かっこいいですよね。ロックの何たるかを一枚で表わした写真だと言えると思います。しかし、タイポグラフィーにも注目です。これはエルヴィスのデビュー・アルバムを模しています。そうなんです。このアルバムの楽曲群は、クラッシュのロカビリー、ロックン・ロールやレゲエ、スカやラテンなど先達の音楽への愛情と畏敬の念を遺憾なく注ぎ込んだ楽曲ばかりなんです。ま、つまりロックの教科書ですよ。前作とはうってかわって、今回はミックにギターを持たせた男ガイ・スティーヴンスをプロデューサーに迎えました。ケミストリーもばっちりだったんでしょうね。実に伸び伸びとやりたい放題やっています。ゲストにはイアン・デューリーのバンドにいたオルガンのミッキー・ギャラガー、それにアイリッシュ・ホーンズという布陣。彼らがまた良い味を出しています。タイトル曲の他にも、重いベースラインが素晴らしい「ブリクストンの銃」だとか、スピーディーな「アイム・ノット・ダウン」とか、くだけた「ジミー・ジャズ」だとか名曲揃いです。2枚組全19曲。息もつかせぬ展開は決してダレることがありません。見違えるようなリズム・セクションですし、タイトに引き締まった演奏は最高です。まぎれもなく当時のイギリスの音楽界の頂点に立っていたと思います。とはいえ歴史に残る傑作と言われているわりには、チャート・アクションはそれほどでもなくて、イギリスでもトップ10にようやく入ったくらいです。しかし、息長く売れ続けており、世界で500万枚を売ったとのこと。傑作にはやがて売り上げもついてくるということですね。

London Calling / The Clash (1979)

※参考(解説)👇️

その1枚が撮影されたのは1979年の9月21日、ニューヨーク・パラディウムで開かれたコンサートでのことだった。 この年の夏、ロンドンで新作アルバム『ロンドン・コーリング』のレコーディングを終えたクラッシュは、2回目となるアメリカ・ツアーをスタートさせていた。 2ヶ月近くに渡ってアメリカ各地を回るという強行スケジュールだったが、ジョー・ストラマーの溢れんばかりのバイタリティに導かれるようにして、バンドはゆく先々で快進撃を続けていった。 この頃にはアメリカでもクラッシュへの関心は高まっていて、ボブ・ディランをはじめとして多くのミュージシャンがコンサートに足を運んでいる。 ニューヨークでのコンサートは9月20日からだった。 会場となったパラディウムは1927年に建造された映画館で、1976年にコンサートホールとして改修された。 事件が起こったのは2日目のことだった。 バンドは初日よりも調子を上げ、ショウは順調に進んでいた。 しかし最後の曲、「白い暴動」を演奏しているときに突然、ポール・シムノンがベース・ギターを床に叩きつけたのだ。 その衝撃に耐え切れず、ネックの部分が見事に折れてしまった。 当時クラッシュの専属カメラマンをしていた写真家、ペニー・スミスによってまさに叩きつけようという瞬間がフィルムに収められた。 その写真を『ロンドン・コーリング』のジャケットに使おうと提案したのは、ジャケットのデザインを手がけることになったイラストレーターのレイ・ローリーだ。 ところが写真がピンぼけしていることを理由に、ペニーはその提案を拒否した。 失敗したと思っている写真をジャケットに使われることに、プロとして抵抗を抱いたのは当然の反応だろう。 しかしレイのアイディアにジョーも賛同したことで、ペニーが押し切られる形となり、ポールがベースを壊す瞬間の写真が使われたのである。 左と下に置かれたL字型の文字組みは、エルヴィス・プレスリーのデビュー・アルバムに対するオマージュだ。 完成したジャケットはエルヴィスさながらの衝動的なエネルギーに満ち溢れて、ロックンロールへの原点回帰ともいうべき仕上がりとなる。 当初は写真を使われることに抵抗していたペニー・スミスだが、2013年のある対談ではこうコメントしている。 「もしポールの顔が写っていたら、それがどうであれ、あんなふうにはならなかったでしょうね。だってそのおかげで印象的なんだから」 一見しただけでは誰がベースを叩き壊しているのか分からない。だからこそこの写真はパンク、あるいはロックの象徴ともいうべき1枚になったのだろう。 ところで、当のポールはベースを壊してしまったことをすぐに後悔したという。 そのベースはフェンダー社のプレシジョンというモデルで、「プレッシャー」という文字が書かれ、ドクロのステッカーが貼られている。 『ロンドン・コーリング』のレコーディングのときにも使ったもので、音がよくてポールはとても気に入っていたという。 ではなぜそんな大切なベースを、ステージの上で衝動的に叩き壊してしまったのだろうか。 「ショウはとても順調だったよ。俺を除いてね、どうにも調子が掴めなかったんだ。 それでベースに八つ当たりしたんだと思う。もし俺が賢ければスペアのほうに持ち替えて弾いてたんだろうな。俺が壊したほうより音が良くなかったし」