montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

アース・ウィンド・アンド・ファイアー 天空の女神 (2017―6)

f:id:montana_sf16:20230204112834j:image f:id:montana_sf16:20230204183426j:image💿️Earth Wind and Fire "Raise!" - YouTube

ジャケットは長岡秀星に戻りました。やはりこうでなくちゃ、と感じた人は多いのではないでしょうか。おかしなもので、この近未来と古代を折衷したイラストをみていると何だか落ち着きます。前作のジャケットは気の迷いだったということにしておきましょう。エジプトのファラオをモチーフに、左半身は古代、右半身は未来となっています。ファラオとは言え、明らかに女性です。そこから邦題は「天空の女神」です。エジプト学に入れ込んでいるモーリス・ホワイトの意を十分にくみ取っていると言えます。ちなみに裏ジャケはサルコファガス、石棺のイラストだそうです。日本人であれば「こけし」と応えてしまいそうな不気味可愛らしい絵柄になっています。ありきたりの美意識ではとらえきれない長岡世界がよく表れています。前置きが長くなりましたが、前作から1年を経て発表された本作品は全米5位まで上昇するヒット作となり、プラチナ・アルバムを取り戻しました。長岡秀星のジャケットであること、ダブル・アルバムでないことが大きな要因でしょう。中身ももちろん力作です。ここでのキラー・チューンは「レッツ・グルーヴ」です。R&Bチャートで1位、ポップ・チャートでも3位に入る大ヒットとなり、ディスコ音楽を代表する曲になりました。ある意味「ブギー・ワンダーランド」や「セプテンバー」以上にディスコを代表しています。いきなりボコーダーで始まります。

f:id:montana_sf16:20230204183513j:image 
f:id:montana_sf16:20230204183530j:image f:id:montana_sf16:20230204183603j:image 
f:id:montana_sf16:20230204183628j:image🎦Earth, Wind & Fire - Let's Groove (Official HD Video) - YouTube

この頃、ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれ、米国を席巻していた英国ニュー・ウェイブ・エレクトロニクス派の音楽を思わせるサウンドには、古くからのアース・ファンの一定の割合の方々が匙をなげることになりました。しかし、さすがに大ヒットする曲は違います。耳について離れません。この曲は、モーリスがプロデュースしたガールズ・グループ、エモーションズのワンダの結婚相手ウェイン・ヴォーンがモーリスと共作しています。新しい血です。さらに、このコンビが作った本作収録の「ウォナ・ビー・ウィズ・ユー」はグラミー賞を獲得しています。「魂」収録の「ゲッタウェイ」の作者べロイド・テイラーも本作では3曲を提供しており、これまたモーリスのエレクトロニクス活用の新境地を開拓しています。こうして新しい血が活躍する反面、本作ではついにアース・サウンドの大きな特徴の一つであったカッティング・ギターのアル・マッケイの名前が消えてしまいました。そして、アルの前任だったローランド・バウティスタが代わりに入ってくるという不思議なことになっています。デヴィッド・フォスターも相変わらず係わっていることからも想像できる通り、本作品ではこれまでのAOR路線をさらに深堀しています。曲はポップさを増し、成熟するディスコに合わせたようなサウンド群は、よりゴージャスによりタイトになってきました。その分、ディープ・ソウルの立場からはどんどん乖離していきました。しばしば酷評もされますが、これはこれとして完成度は高いので気持ち良さをしっかり楽しむ方がよさそうです。好奇心旺盛なモーリス・ホワイトにはこだわりはなさそうですし。。🤔

Raise! / Earth, Wind & Fire (1981 Columbia)