montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

エリック・カルメン サンライズ (2014―4)

f:id:montana_sf16:20230811124332j:image💿️Eric Carmen - Eric Carmen (1975) - YouTube

NHKのBSで放送している「笑う洋楽展」は大変面白いです。みうらじゅんさんと安斎肇さんが懐かしい洋楽ビデオをネタにあれこれツッコミを入れるというありそうでなかった番組です。昔は、音楽ビデオ、特に洋楽は突っ込んではイケないという心理的な規制が働いていましたから、胸のつかえがとれるようです。エリック・カルメンさんは、その「笑う洋楽展」で散々コケにされていました。キリンのような顔だとかなんとか。ま、早い話、非難のポイントはイケメンのモテ男だというところでしたから、モテない男の単なる僻みであるわけですけども、妙に納得できたのも事実です。エリックは、幼いころから音楽に才能を発揮し、ビートルズでポップスに目覚めた後、20歳くらいでレコード・デビューしました。やがてラズベリーズにて大ヒットを飛ばしましたが、バンド内はごたごたしていたようで、5年ほどで解散してしまいました。もう面倒はご免とばかり、ソロとしてのキャリアを追及することとして、アリスタ・レーベルを立ちあげたクライヴ・デイヴィスを自宅に招いてオーディションを行い、めでたく契約に漕ぎつけました。そして発表されたのが、セルフ・タイトルのこの作品です。いきなり、「オール・バイ・マイセルフ」が全米2位の大ヒットとなり、アルバムもかなりのヒットを記録しました。プロデュースは付き合いの長いジミー・イエナーで、このアルバムは自分自身とジミーに捧げられています。息もぴったりで、感無量だったことでしょう。

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f:id:montana_sf16:20230811131930j:image🎦Eric Carmen - All By Myself (audio original) HD 1975 - YouTube

バンドは完全にバック・バンドに徹しているようで、そこにもミュージシャン同士のエゴのぶつかりあいに懲りた過去が生きています。その頃の心境をつづった「ノー・ハード・フィーリング」なる曲までありますが、アンサー・ソングは攻撃的な曲だったようで、かわいそうです。美しいパワー・バラード、「オール・バイ・マイセルフ」は稀代の名曲として、数多くのカバー・バージョンを生んでいます。特にセリーヌ・ディオンのものは有名で、そちらが本家と思っている人も多そうですけど、こちらが本家ですよ。最初にカバーしたのは、何とフランク・シナトラ御大です。そうなんです。この曲はそっち側、すなわち、ロックの対岸の雰囲気が濃厚なんですよね。おまけに、ピアノ部分はラフマニノフの影響を受けたと公言していますし。「笑う洋楽展」じゃないですけども、エリック・カルメンはすべてのロック小僧の敵だったという記憶が甦ってきました。カバー曲が一曲ありますけど、それ以外は全部エリックの手による楽曲です。極めてよく練り上げられたメロディーを、しっとりとした演奏によって彩っていくという、極上のポップスが展開されています。丁寧に作られていて、頭が下がります。ポップスの名盤の一つに数え上げる方も多数いらっしゃるのがよく分かります。しかし、当時26歳とは思えない老成ぶりです。ロックっぽい曲もあるんですけども、やはりシナトラ系エンターテインメントの世界に近いと思います。モテることを意識した作品かもしれませんね。やはりロック小僧の敵です。

Eric Carmen / Eric Carmen (1975 Arista)