montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ジェームス・テイラー スウィート・ベイビー・ジェ ームス(2019―12)

f:id:montana_sf16:20240312171216j:image f:id:montana_sf16:20240312171228j:image💿️James Taylor (Sweet Baby James Album). - YouTube

ボストン生まれのジェームス・テイラーはニューヨークで音楽活動を始めますが、やがて新たなスタートを切るべくロンドンに渡ります。そこで、盟友ダニー・コーチマーの紹介を受けて、元ピーター&ゴードンのピーター・アッシャーのフラットを訪れたことで運命が開かれます。アッシャーは、その時にジェームスが持参したデモ・テープは、「自分の音楽の地平を永遠に変えた」と述懐しています。それにとどまらず、自分のみならず世界の音楽観も変えたんだと、アッシャーは熱いです。それほど惚れ込んだということでしょう。ジェームスは「クラシックのような正確さでギターを爪弾き、『フォーク・シンガー』の暖かで息遣いを感じる声で」歌うのですが、その曲は「ウッディ・ガスリーよりもマンハッタンズ」、その歌は「ピート・シーガーというよりも、サム・クックでありレイ・チャールズ」だとピーター。当時の用語でいえばギターで弾き語る白人はフォーク・シンガーになるのですが、ジェームスの場合はそのスタイルでソウルを演奏している、というところにピーター・アッシャーの音楽観を変えたポイントがあったわけです。言われてみれば納得の表現です。ビートルズのアップル・レコードでA&Rをしていたピーターはすぐにジェームスと契約を交わし、アルバムを制作しましたが、ごたごたするアップルを見限った二人は、契約を解消してアメリカに向かいます。ここで晴れてピーターはジェームスのマネージャーとなります。~続⤵️

f:id:montana_sf16:20240312172110j:image f:id:montana_sf16:20240312172454j:image f:id:montana_sf16:20240312172141j:image 
f:id:montana_sf16:20240312172203j:image f:id:montana_sf16:20240312172211j:image🎦James Taylor - Fire And Rain (BBC In Concert, 11/16/1970) - YouTube

🎦James Taylor & Carole King - You've Got A Friend (BBC In Concert, 11/13/71) - YouTube

ピーターは業界に顔が効いたことでしょう、さっそくメジャーであるワーナー・ブラザースとの契約をまとめます。アップルでの挫折があったとは言え、大物と手を携えたことで、とんとん拍子に音楽活動が進んでいきました。ラッキーだったと言えます。ジェームスはピーターの勧めで西海岸でアルバム制作にかかります。コアとなるバンドは、まずは盟友ダニー・コーチマー、ダニーの紹介で大名作「つづれおり」のキャロル・キング、そしてドラムのラス・カンケルです。何とも渋い人選です。ゲストにはボビー・ウェストやクリス・ダロウ、ジョン・ロンドン、レッド・ローズなどの渋い面々に加え、後にイーグルスに加入するランディ・マイズナーが呼ばれました。制作の舞台となったロサンゼルスならではの人選です。ウェスト・コーストは格別でした。わずか数週間で出来上がったアルバムは大ヒットします。シングル・カットされたジェームスの代表作「ファイヤー・アンド・レイン」がシングル・チャートで3位に上がると、アルバム自身も3位となる大ヒットです。グラミー賞のアルバム・オブ・ザ・イヤーにもノミネートされています。この当時はシンガー・ソング・ライターが盛り上がってきた時期でもあり、うまく時流に乗ったともいわれますが、むしろ、このアルバムなどが真っ先にブームを作ったとも言えます。それほど充実したアルバムです。確かにソウルフルなフォークという新たな音楽でした。アッシャーが見出したジェームスの暖かい声の中のソウルは本作で花開いています。ラス・カンケルのドラムを始めとする演奏陣の中にもソウルが蔓延しており、端正な曲でありながら、ディープなアメリカを感じます。深みのある傑作だと思います。

Sweet Baby James / James Taylor (1970 Warner)