montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ボン・ジョヴィ ワイルド・イン・ザ・ストリート (2018-12)

f:id:montana_sf16:20220302162231j:image🎦Slippery When Wet - YouTube

2018年夏、東京の盆踊り大会でボン・ジョヴィの曲がそのまま使用されて話題を呼びました。盆ジョヴィ!これにはボン・ジョヴィ本人たちが暖かいコメントを寄せたことで、さらに盛り上がりました。この夏、日本で100回目の公演を行ったボン・ジョヴィらしい出来事です。盆踊りで使用された曲は「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」、いわずとしれたボン・ジョヴィの代表曲です。米国では4週連続1位を記録し、ハード・ロックの本場英国でも初のトップ10入りを果たしましたし、日本でももちろん大人気の楽曲です。その「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」を含む3枚目のアルバムが本作です。ボン・ジョヴィをスーパースターに押し上げたモンスター・アルバムで、全世界での売上は3000万枚といいますから凄いです。米国では8週連続1位とレッド・ツェッペリンを抜く記録を達成しました。前作が日本では受けたものの、英米ではぱっとしなかったボン・ジョヴィは、新たにブルース・フェアバーンをプロデューサーに迎えました。ブルースはブライアン・アダムスと仕事をしたことがあるカナダ人で、ハード・ロック・バンドを得意とします。もう一つ。曲作りにマンハッタンの詩人と呼ばれたロッカー、デズモンド・チャイルドを引っ張り込みます。ジョン・ボンジョヴィ、リッチー・サンボラのチームにデズモンドを加えたトリオによる作品が「禁じられた愛」、「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」、そして「ウィズアウト・ラヴ」です。前2曲はシングル・カットされてどちらも全米1位に輝いています。

f:id:montana_sf16:20220302161711j:image f:id:montana_sf16:20220302161733j:image f:id:montana_sf16:20220302162544j:image  f:id:montana_sf16:20220302161806j:image🎦Bon Jovi - Livin' On A Prayer - YouTube

デズモンドによる楽曲は、キッスの「ラヴィン・ユー・ベイビー」やエアロスミスの「エンジェル」、「クレイジー」、さらにはリッキー・マーティンの「リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ」など、大したヒットメーカーです。こうした試みは見事に実を結んで、ボン・ジョヴィ本来の魅力が100%引き出されました。「ワイルドなロックン・ロールがストレートに駆け抜ける」作品です。キャッチーなメロディーがあっけらかんと提示されていて、とにかく気持ちが良いです。ヘビー・メタルと呼ぶことには躊躇されます。やはりポップな色彩が強い。冒頭のインストゥルメンタル曲「ピンク・フラミンゴス」などはプログレ的でヘビメタ・アルバムを予感させるのですが、ジョンが歌うとその根っからの明るさがヘビメタ色を後退させていきます。それが悪い訳ではなくて、ボン・ジョヴィボン・ジョヴィ、余計なことにこだわらずに我が道を行って正解です。1986年のアルバムですけれども、時代を超越しています。それはハード・ロックサウンドを覆うポップな衣装の力だと言ってよいでしょう。音楽評論の世界において彼らはなぜか軽く扱われがちです。ロック100選などの企画にはたいてい漏れてしまいます。こんなにキラキラしたハード・ロックもそうないと思うんですが、売れ過ぎたということでしょうか。時代に消費もされていない不朽の名盤だと思います。なお、原題は卑猥な響きがします。フランク・ザッパの「キープ・イット・グリージー」を思いだしました。恐らくはそのせいでしょう、邦題はアルバムの最後の曲名をそのまま持ってきました。確かにこちらの方が日本でのボン・ジョヴィ像に近いです。

Slippery When Wet / Bon Jovi (1986 Mercury)