💿️ベック・ボガート＆アピス、略してBBA結成に至る道のりは大変曲がりくねっています。ただ、最初にジェフ・ベックがこの二人とやりたいと思ったのは1969年のことで、実際にこの面子が揃ったのは1972年のことですから、その間、わずか3年。この頃のロック界の3年は今の音楽界の30年に相当するのではないでしょうか。とにかく動きが早かったですから、この間、ベックの交通事故と入院があり、ティム・ボガートとカーマイン・アピスはカクタスを結成、ベックは第二次ジェフ・ベック・グループを立ち上げています。しかし、カクタスも第二次ジェフ・ベック・グループも解散、晴れてこのトリオが結成されました。というわけでもなく、この3人にキーボード奏者とボーカリストを加えて5人編成が目指されました。ボーカリストにはポール・ロジャースの名前も挙がっていたそうです。結局、トリオに落ち着きます。リード・ボーカルは3人が交代でとり、2曲にキーボードのサポートが入りました。なお、ジェフ・ベックが貴重なリード・ボーカルをとっているのは1曲目の「黒猫の叫び」だけです。←(もっと歌って欲しかった……。😔 )みなさんご存知の通り、英国三大ギタリストの一人であり、ギタリストとしての突出具合ではその中でも群を抜いていたジェフ・ベックが、なぜにそれほどまでにボガートとアピスに拘ったのでしょうか？。アルバム制作に至る経緯が流れてくるにつれて、そんな謎が深まっていました。
🎦Beck, Bogart & Appice - Superstition -1973 - YouTube
ベースのティム・ボガートとドラムのカーマイン・アピスは米国のバンド、ヴァニラ・ファッジのリズム・セクションです。ここが繋がらない。というのも、ヴァニラ・ファッジと言えば米国発アート・ロックの雄であり、代表曲は「キープ・ミー・ハンギング・オン」です。自分はその曲しか知らなかったですから、凄いリズム・セクションだって言われても、注目点はそこじゃないでしょ？🤔、としか思わんかったです。しかし、答えはもちろんトリオが発するサウンドに用意されてました。いや、バッチリじゃんｺﾚ。って多くの人は思ったはず。中村とうようさんも、ジェフ・ベックを高くかってたワケではないのに、この作品で初めてベックを見直したなんて言ってます。ベックのこの頃までのカタログは分かりにくいので、とらえどころがない印象でしたｹﾄﾞ、自分もこのアルバムはストレートに入ってきました。初めて聴いたのは「迷信」でした。キンキンキンとなるギターがベックらしいです。スティーヴィー・ワンダーの名曲がこんな風に解釈されるのかと驚きをもって、🎸耳コピながら何度も何度も聴き入りました。そしてわかったのは、確かにベースとドラムが凄いです。超重量級のドラムとまるでリード・ギターのようなベース。カクタスにジェフ・ベックが入っていたら、随分違う音になっていたのではないかと以前、カクタスの記事に書いてしまいましたが、あらためて聴いてみると、もちろん違うは違けれど、米国南部のファンキーなテイストは共通していて、天と地ほどは違いません。演奏だけとってみると、1970年代のロックがロックらしかった時代に、テクニシャンが素直にテクニックを全開にさせて生きのいいロックを展開するという安心のサウンドです。本当に楽しそうに全員で弾きまくっています。やっぱりこの頃のロックはいいです。
