montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ キャッチ・ア・ ファイアー (2010―5)

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f:id:montana_sf16:20231019013359j:image💿️Catch A Fire - YouTube

「ロック界を揺り動かすジャマイカの嵐 その先鋒がレガエ、スーパーグループ、ザ・ウェイラーズ!」。本邦発売時のレコード帯の言葉です。ロックだと捉えられていたこと、「レガエ」と呼ばれていたこと、ボブ・マーリーの名前がないこと、当時を物語ります。ボブ・マーリーが世界に名を轟かせるに至るきっかけとなったザ・ウェイラーズの英国アイランド・レコードからのデビュー作です。もちろんザ・ウェイラーズのジャマイカでの活動歴は長く、当地ではチャートを頻繁に賑わす人気者でした。ジャケット裏に彼らの紹介があります。それによればウェイラーズは10年前、スカの時代にボブ・マーリー、ピーター・トッシュ、バニー・リビングストン(ウェイラー)によって結成され、あっという間にジャマイカ一人気も影響力もあるバンドになりました。そして、彼らはジャマイカを席巻するロック・ステディーのビートを生み、初めて「ルーディ」ソングを提示し、レゲエ・ビートを紹介したことになっています。ジャマイカの音楽事情をすべてウェイラーズで説明しようと盛り過ぎなことはさておき、力のこもった紹介です。アイランド・レコードの社長クリス・ブラックウェルは早くから彼らに注目しており、ジャマイカ時代のレコードを発売していたそうですが、紆余曲折を経てロンドンに置き去りにされていた彼らに破格の契約金を渡し、このアルバムの制作に至りました。~続⤵️

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f:id:montana_sf16:20231019013507j:image🎦Bob Marley & The Wailers - Stir It Up (Live at The Old Grey Whistle, 1973) - YouTube

本作はジャマイカで録音され、マーリーは完成されたマスターテープを持ってロンドンに戻ります。テープを聴いたクリスは馴染みのないレゲエを普及させるにはひと工夫が必要だと考え、すぐさまアイランド・スタジオに持ち込みます。そこでロックのオーディエンスにもアピールするようにと、たまたまスタジオで録音中だったアメリカのミュージシャンなどを起用して、クラヴィネットやオルガン、リード・ギターなどがオーバーダブされ、リズムはまろやかにされていきます。マーリーも納得済だそうですが。アイランドはもともとジャマイカ発祥のレーベルでクリスはレゲエに造詣が深いのですが、ロンドンではロックで成功していたために、何としてもウェイラーズの魅力を広く知らしめようとしてこのオーバーダブに及んだのでしょう。熱い意気込みをかいましょう。2001年に再発された際に封入されたジャマイカ・オリジナル・バージョンを聴いてみると、オリジナルのゆったりとしたシンプルなサウンドの方が自分は好きです。レゲエも格段にポピュラーになった今から振り返るのもフェアではないとは思いますが。三人にリズム隊バレット兄弟を加えたウェイラーズは色気たっぷりのレゲエ・ビートに乗せて、400年に及ぶ抑圧の歴史に敢然と立ち向かうストレートな歌を聴かせます。アイランド盤ではロック風味が加わっていますが、基本線はもちろん変わりません。世界に向けたレゲエの発信が本格化する鏑矢となった作品として歴史的な価値があります。そもそも「コンクリート・ジャングル」やジョニー・ナッシュがカバーしてヒットした「スター・イット・アップ」など名曲を含む全編レゲエに貫かれた本アルバムは迫力満点です。

Catch A Fire / The Wailers (1973 Island)