montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

マザーズ マザーズ・オブ・インヴェンションのおかしな世界 (2011-5)

f:id:montana_sf16:20220830005906j:image💿️Frank Zappa - We're Only In It For The Money (1968) - YouTube

自分は昔から心身のバランスが崩れそうになるとフランク・ザッパ先生の作品を聴くことにしています。も-何度も書いてますが、どんな時でもザッパ先生の音楽は音楽以外の不純物は一切ありません。聴く者の心象風景などに無頓着ですから、心が洗われます。本作は作品番号4番ですが、マザーズの3作目です。前作までとは聴いただけで分かるほど異なっています。クレジットのところに、「ここで聴かれる全ての音楽はフランク・ザッパによって作曲され、アレンジされ、そして科学的に切断されている」と書いてあります。また、どの音も「電気的に生み出されたものではなく、普通の楽器の音を電気的に変換したのだ」とも書かれています。ボーカルから何から電気的な処理がされていて、とてもサイバーな感じの仕上がりになっているんです。ただし、とても電子的ではありますが、ICチップの世界ではなくて、トランジスターの世界です。昔は電子機器を動かすにも多大な電力を必要としましたが、そんなアナログなデジタル風景が広がっています。「おかしな世界」です。

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収録時間は短いわりに19曲ものクレジットがあります。とはいえ全体が切れ目のない一つの作品になっています。それぞれが独立した曲を構成するというよりも全体として1曲。ま、組曲だと言ってもよいでしょう。歌いやすいキャッチーなメロディーをもった曲も多いですが、うまくブリッジに音のコラージュ作品を入れたりして、見事な構成になっています。ギター・ソロなどまるでありませんが、これはこれで構成の美しさを愛でたいと思います。この作品は最初にCD化された時にはドラムスの音を収録したテープが見つからなかったという理由だったとうろ覚えに記憶していますが、CD化当時のザッパ・バンドのドラマー、チャド・ワッカーマンの音に差し替えられていました。よりデジタルな感じのドラムでした。それに最初は次作の「ランピー・グレイビー」との2イン1でしたから、切れ目もよく分かりませんでした。両者が融け合って、サイバー感がより強かった。無事にビリー・マンディのドラム・サウンドが復活し、単体作品となって、時代が甦りました。ブックレットには、カフカの「流刑地にて」を読んでから聴くこと、第二次大戦中にカリフォルニアに設けられた強制収容所を思うこと、と指示されています。アルバム中のいくつかの曲が検閲されたことを思うと、「自由」という言葉のとても重い意味を思い知らされます。現在でも表面は随分自由になりましたが、本質的な不自由さというのは変わっていません。ザッパ先生の問題意識は終生変わることはありませんでした。この終始一貫ぶれない姿勢には頭が下がります。凄い人です。このジャケットは最初のCD化の際に表に昇格したものです。サージェント・ペパーズのパロディーになっています。圧倒的な猥雑さで見飽きることがありません。ジャケットも含めて傑作です。なお、エリック・クラプトンが冒頭の曲ともう一曲でしゃべっています。

We're Only In It For The Money / The Mothers (1968 Verve) #004