montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

フェイセズ ウー・ラ・ラ(2014―12)

f:id:montana_sf16:20230605171707j:image💿️Ooh La La - YouTube

だいぶ昔の友人(🇫🇷在住←)の話ですが、聞くところによると、パリの街を幼い息子さんを肩車して歩いていたところ、よそ見をした息子さんが後ろに倒れ、逆さ吊りになってしまったらしいんです。しっかり足を持っていたので大丈夫だったとのこと。ホッ…😓💦、としたその瞬間、後ろを歩いていたパリのマダムが驚いて「ウー・ララ!」とおっしゃったそ-です。ちょっと脱力感のある驚きを表現する言葉。まるで、ウーララの使い方の教科書のヨーです。のっけから脱線しましたが、このアルバムを聴くたびにセットで思い出されます。当時、LPの帯の場合は、「ジャケットの上を押すと何と何と!”ウー・ラ・ラ”」とあります。これも正しいですけど、上記の体験の方がちょっと勝っている気がします。特殊ギミック・ジャケットを再現したせいで、値段は高いですが、大いに満足です。フェイセズの4枚目、最後のスタジオ作品は、やはりこの紳士のスケベ面がないと締りません。フェイセズのユーモラスなセンスが込められたジャケットです。英国では初のナンバー1アルバムになりました。ロッド・スチュワートの人気が沸騰していた時期ですから、そのせいもあると思われますが、このアルバムはロッドのアルバムではありません。フェイセズのアルバムに違いありませんが、これはロニー・レインのアルバムです。ソロで忙しいロッドはなかなかスタジオに現れず、彼がやってきた時にはすでにロニーが主導してアルバムの原型が出来ていました。ロッドは随分気にいらなかったようで、発売直後のインタビューでは「最悪のアルバムだ」と言い切ってしまいました。そうなるとバンドは原型をとどめるわけにはいかず、結局、ロニー・レインは脱退してしまいます。

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 🎦The Faces - Cindy Incidentally (1973) - YouTube

この後、我らが山内テツが加わって、活動しますが、結局スタジオ作を残すことなく、解散することになっていきます。このアルバムは前作よりもロッドが目立ちます。前作はロッドとロニーの個性がぶつかりあってフェイセズサウンドが形作られていました。逆説的ですが、今回はロニー色で統一されていて、ロニーがロッドの歌をプロデュースしているような感触です。目立つわけです。そして前作にあったストーンズの弟バンド色は逆に薄いです。ロニーはフォークやトラッドなどの影響を受けたサウンドを展開していて、激しいロック調の曲はパブ・ロック的な匂いがします。ストーンズとはちょっと違う。前作のようなルーズな感覚も少し後退して、あくまで相対的な話ですが、きちんとしてきました。酔いどれバンドでありながら、今回は安心して酔っぱらっているわけにはいかないぞという緊張感があったのでしょう。ヒットしたのは「いとしのシンディ」、ロッドの歌が映える曲ですがソロっぽい。それもロニーの企みでしょう。ところで、原題は「シンディ・インシデンタリー」です。マツコ・デラックスと同じ種類の語の並びです。変なことが気になってしまいました。最後に収録された標題曲はロン・ウッドが歌っています。ロニー・レインもロッドも後にレコーディングする名曲です。この曲に象徴されるように、前作よりも完成度は低いにも係わらず、とても愛すべきアルバムです。個人的には文句なくこのアルバムがフェイセズの中では一番です。

Ooh La La / Faces (1973 Warner Bros)