💿️ROLLING STONES 1ST ALBUM (1964) - YouTube
ローリング・ストーンズのデビュー・アルバムです。英国盤は長らく入手が困難でしたけども、こうしてボックス・セットの一つとして入手することができました。ビートルズと異なり、ストーンズの初期作品群は扱いが悪かったのでボックス・セットは大変嬉しいです。ジャケットはストーンズの5人のポートレート写真のみ。タイトルもバンド名も一切ありません。マネージャーのアンドリュー・オールダムのこだわりで、レコード会社デッカの反対を蹴散らして実現させたものです。オールダムのもう一つのこだわりは、デッカの役割を販売に限定し、制作過程に一切口を出させなかったことです。実はこれって途轍もなく大きなことなんです。ビートルズですら、デビュー時にそんな自由を手にしてはいませんでした。それは反面ではスタジオも自分たちで探すということで、彼らが選んだのはリージェント・サウンド・スタジオというまるで貧弱なスタジオでした。とはいえ、それがまたこのアルバムの味わいを深めていますから面白いものです。荒々しい音がぴったりなんです。そのスタジオにやってきたストーンズは何の準備もしていなかったそうです。「日頃ライヴで演奏している曲を中心にレコーディングすればいいと考えていた」模様で、必然的にジャム・セッション的に録音が進んでいくことになりました。収録されている12曲のうち、オリジナルは2曲ですが、そのうち一曲は実質「キャン・アイ・ゲット・ア・ウィットネス」のインストゥルメンタルですから、普通の意味でのオリジナルは「テル・ミー」のみです。ミック・ジャガーとキース・リチャーズがオールダムに缶詰にされて書かされたという「テル・ミー」は、ローリング・ストーンズの曲の中でも最も日本のグループ・サウンズ的です。この曲を聴くたびにタイガースやテンプターズを思い出してしまいます。ブルースやロックン・ロールのカバーが並ぶ中で、ポップな味わいをもつ「テル・ミー」は異彩を放ちながらも、アルバムに画竜点睛効果を与えています。全部カバーでもよかったとは思いますが、この曲のおかげで未来への予感を胚胎することになりました。
🎦Rolling Stones - Route 66 1976 - YouTube
それにしてもここでのストーンズの演奏は気持ちが良いです。嬉々としてアメリカの黒人音楽を演奏する彼らの溌剌とした姿は何物にも代えがたい初心の魅力を放っています。この前にシングルがあるわけですが、やはり長尺が欲しいですから。面白いのはコーラスをしているのが、キース・リチャーズではなく、ブライアン・ジョーンズとビル・ワイマンだということです。最初はそういう建付けだったのかと少し意外でした。特にブライアンのダミ声全開の「ウォーキング・ザ・ドッグ」は聴き物です。この作品は全英1位に輝きました。米国でヒットしていたにしても英国では無名な曲ばかりですから、それまで聴いた事がない何やらどす黒い怪しげなサウンドは英国の若者にはさぞかし新鮮に響いたことでしょう。そう、これはまるでパンクでした。
The Rolling Stones / The Rolling Stones (1964 Decca)
参照:「ローリング・ストーンズを聴け」 中山康樹