montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ローリング・ストーンズ 刺青の男 (2016―8)

f:id:montana_sf16:20230712105102j:image🎦Tattoo You (2009 Re-Mastered) - YouTube

ストーンズの1980年代は「スタート・ミー・アップ」で華々しく始まりました。傑作「刺青の男」を引っ提げて、ストーンズは80年代もスーパースターであることを力強く宣言したのです。ということだとばかり思いこんでいました。ところが、80年代最初のアルバムは「エモーショナル・レスキュー」ですし、「刺青の男」は傑作には違いないものの、「スタート・ミー・アップ」も含めて収録曲のほとんどが過去の音源を探索して再構築したものでした。それだけ「スタート・ミー・アップ」の衝撃が強かったということです。イントロからキース節が炸裂していて、とてもストーンズらしい曲です。「リフは俺のトレードマークの一つで、いろいろな演り方があるんだ」とキースが語っています。続くツアーでは「ブラウン・シュガー」とJJFの間に配置されることになりましたから、彼らとしても自信作だったんでしょう。シングルでも大ヒットしましたし、ストーンズを代表する曲になりました。歌詞も新たな出発に相応しいです。※(◯○さんにコメントを頂き、修正しました。ご指摘ありがとうございました🙏) ストーンズキース・リチャーズのドラッグ裁判もあってツアーからしばらく離れていましたので、1981年からワールド・ツアーに出ることにしました。そして、それに間に合わせてアルバムを制作することを企画します。

f:id:montana_sf16:20230712124113j:image f:id:montana_sf16:20230712124049j:image f:id:montana_sf16:20230712124150j:image
 f:id:montana_sf16:20230712124231j:image f:id:montana_sf16:20230712124257j:image f:id:montana_sf16:20240214175529j:image
 f:id:montana_sf16:20230712124315j:image🎦The Rolling Stones - Start Me Up - YouTube

しかし、ミックとキースの仲がしっくりきていない中、短期間のうちに新曲ばかりで新作を作ることは難しいと判断します。そこで、前作からかかわっていたプロデューサーのクリス・キムゼイは「ありったけの没テープを聴かせてもらい」その中からお宝を拾いあげました。そのお宝を再度スタジオで磨き上げて制作したのがこの「刺青の男」です。古い曲は「山羊の頭のスープ」の頃ですから、ミック・テイラー時代のもので、実際、テイラーのギターが残されています。後に求められて、テイラーにも印税が支払われたそうです。スタジオでのブラシュ・アップに際しては、何とジャズ・ジャイアンツの一人、ソニー・ロリンズが参加して、そのサックスを演奏しています。ミックに聞かれたチャーリーが名前を挙げると、さすがは大物ミック、あっという間に話をつけて、ロリンズの参加が決まりました。単にアウトテイクを集めたアルバムになっていないのはさすがです。データも錯綜していて、全くの新作があるのかどうかややこしいですが、足掛け10年にわたる録音であるにもかかわらず、見事な統一感があります。前作ではほとんど見られなかったギター・ソロも復活しましたし、キースとロンが不在で、ビル・ワイマンがギターも弾いているという不思議な「ヘヴン」、ロリンズのサックスがロマンチックな「友を待つ」など、多彩な曲がしっかりと作りこまれています。ストーンズのラフでルースな魅力とは異なる、きっちりしたスーパースターの作品として安心して聴けるアルバムです。最先端ブラック・ミュージックへの挑戦は小休止しており、チンピラのストーンズを大御所が余裕でカバーしたかのような空気が面白い作品です。

Tattoo You / The Rolling Stones (1981 Rolling Stones)