montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ローリング・ストーンズ アフターマス (US) (2016―12)

f:id:montana_sf16:20240415214530j:image💿️Aftermath- Rolling Stones - YouTube

ローリング・ストーンズ初の全曲オリジナルで固めたアルバムの米国盤です。もっさりしたジャケットがイギリス的ではなくて、何ともアメリカ的な雰囲気をかもし出しています。モノクロに耐えられない感性というのがあるものです。英国盤と比べると、まず、冒頭の「マザーズ・リトル・ヘルパー」が「黒くぬれ!」に差し替えられています。「黒くぬれ!」は英米でチャートを制した人気曲ですから、これまでの米国盤の編集方針に合致した差し替えです。今回は英国盤が50分を超える長尺だったことから、米国盤では3曲がカットされました。よりコンパクトにまとめることで、商業性を高めようとする意図だと思います。結果的にこの戦略は功を奏したのではないでしょうか。米国盤の人気は結構高いです。「黒くぬれ!」はブライアン・ジョーンズシタールが大活躍する凄味のある名曲です。それに改めて聴いてみると、ビル・ワイマンのぶいっぶいっとなるぶっといベースが素晴らしいです。この曲の凄味はこの二人が醸し出しています。この曲が冒頭に置かれることで、英国盤とはまるで異なるアルバムのような印象を受けるのが面白いです。後は間引かれているとは言え、同じ曲ばかりなのに。これは英国盤の「マザーズ・リトル・ヘルパー」がこれまた強力だったからでしょう。同じく凄味はあるものの、その凄味の方向性がまるで異なっています。「黒くぬれ!」の方が明らかに派手な曲ですから、当時、ストーンズと言えば、日本ではまず「黒くぬれ!」でした。

f:id:montana_sf16:20240415221611j:image f:id:montana_sf16:20240415221548j:image f:id:montana_sf16:20240415221557j:image 
f:id:montana_sf16:20240415221535j:image🎦The Rolling Stones - Paint It, Black (Official Lyric Video) - YouTube

🎦Rolling Stones Paint It Black HD - YouTube

「サティスファクション」や「ひとりぼっちの世界」よりもこっち。後に「悲しみのアンジー」がやたらと日本で受けたのと同じようなものを感じます。どこか歌謡曲的な風景を感じさせますから、グループサウンズの方々にも馴染みの深い楽曲でした。日本人好みのヒット曲です。面白いことに「アウト・オブ・アワ・ヘッズ」米国盤で感じた「サティスファクション」の孤独感はこちらにはありません。「黒くぬれ!」は見事にアルバムに溶け込んでいます。恐らくそのせいもあって、米国盤に軍配を上げる人が多いのでしょう。これはすべてオリジナル楽曲であることに起因しているのでしょう。まだアルバムとしての統一感を頭に置いて楽曲を作るという余裕はなかったと思われます。したがって、同じセッションでも一曲一曲が独立した印象があります。カバーを交えたアルバム・セッションでは一気に同じ勢いで各楽曲が録音され、統一感がありました。それに対して、こちらは各楽曲のベクトルがまちまちです。それだから、一曲差し替えられてもアルバムのまとまりとしては問題ない。そんなこんなでストーンズのオリジナル指向がここで決定的になり、すぐにやってくる黄金期への期待が膨らみます。どす黒い雰囲気を残しつつ、カラフルな音作りとなったこのアルバムは、初期ストーンズの終わりの始まりとなりました。

Aftermath (US) / The Rolling Stones (1966 London)