montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ローリング・ストーンズ 山羊の頭のスープ (2016―7)

f:id:montana_sf16:20231013221023j:image💿️Goats Head Soup (Remastered 2009) - YouTube

ローリング・ストーンズの人気が日本で一般化するのは「悲しみのアンジー」からではないでしょうか。もちろん洋楽を聴いている人の中にはストーンズ信奉者も多かったわけですが、それまではどちらかと言えば不良の聴く音楽で、お茶の間とは無縁でした。この頃、初来日公演がメンバーの麻薬による逮捕歴などで中止となり、その勇姿が大いに話題になりました。そこに「悲しみのアンジー」です。日本人の琴線に触れる、こてこてしてるけれども分かりやすい名バラードが登場し、ストーンズは一気に親しみやすくなりました。この作品は、その「悲しみのアンジー」を収めたアルバムです。前作が渾身の大作だったため、このアルバムへの期待も高く、アンジーのシングル・ヒットも手伝って、英米でヒット・チャートを制しました。前作発表後のツアーを終えたストーンズは、1972年11月にジャマイカにわたり、そこで約1か月にわたりレコーディングを行いました。レゲエが話題に成りだした頃でしたから、そのニュースへの興味は否が応でも盛り上がっていました。そんな鳴り物入りのアルバムでしたし、商業的にも成功しましたけれども、後にストーンズの70年代の低迷はこのアルバムから始まったとされる評判の悪い作品になってしまいました。その大きな部分は「悲しみのアンジー」によります。お茶の間の人気は得たものの、旧来のストーンズ・ファンの評判は散々でした。~続⤵️

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 f:id:montana_sf16:20231013222137j:image f:id:montana_sf16:20231013222211j:image f:id:montana_sf16:20231013222152j:image🎦The Rolling Stones - Angie - OFFICIAL PROMO (Version 1) - YouTube

英国の著名なロック評論家ニック・ケントは「話にならないほど醜いシングルだ」とまで酷評しています。およそストーンズらしくないベタなバラードですから、その気持ちも分からないではないです。しかし、60年代にも「涙あふれて」がありました。そして、ミック・ジャガーではなく、あのキース・リチャーズが「ベーシックなメロディとタイトルは俺が考えたんだ」そうです。ストーンズの骨の中にはこういう傾向もあることを素直に受け止めるべきと思います。それはさておき、このアルバムの楽曲はそれぞれにキャラが立っています。ブードゥー趣味全開の凄味のある「ダンシング・ウィズ・ミスターD」、キースがヴォーカルをとるカントリー風味のバラード曲「夢からさめて」、キャッチーな「シルヴァー・トレイン」などなど。中山康樹氏が「最高の瞬間ではないだろうか」と絶賛する「ウィンター」、ミュージック・ライフの星加ルミ子さんがおみやげにもっていった笛を使ったオリエンタルな「全てが音楽」。全曲こうして容易に一言解説をすることができます。「メインストリートのならず者」ではこうはいきません。しかし、アルバム全体としてはキース曰く「数々の曲が全部美しく融け合ったような気がする」前作のアルバムとしての魅力には遠く及びません。一曲一曲のアイデアは粒だっているのに面白いことです。本作はストーンズの大衆化が始まった作品として記憶されることでしょう。ストーンズの凄味というものが、うまく毒気を抜いて料理されて示されています。これはこれでさすがにストーンズだなあと思ったものでした。

参照:「ローリング・ストーンズを聴け!」中山康樹