montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

トッド・ラングレン サムシング/エニシング? (2013-6)

f:id:montana_sf16:20230622010105j:image💿️Todd Rundgren - Something/Anything? (HQ) - YouTube

発表された当時のキャッチコピーは確か「五年先のロック」というような文句でした。5年というのもまあ実に微妙な未来だなぁ~、なんて思いつつ買った憶えがあります。それで、どんな過激な音が出てくるのかと思ってワクワクしながら針を下ろしますと、いきなり「瞳の中の愛」。「何が五年後や。普通のポップスやんけ~」なんて思わずのけ反ってしまい←(関西弁でカヨ?) つつも、いつのまにやらずるずると愛聴しつづけるはめになり、5年はおろか40年たっても全く古びることはありませんでした。コピーは一周も二周もまわって、ある意味正解だったのかもしれないと今では思います。この作品「サムシング/エニシング」はトッド・ラングレンの全作品の中で最も売れた作品ですし、多くの人がこれを最高傑作としてはばかりません。2枚組80分にわたって詰め込まれた多様な楽曲の数々は時代を超えて見事に生き続けています。LP2枚のうち、1枚と半分はワンマン録音です。前作まではリズム・セクションだけはセッション・ミュージシャンに頼っていたトッドですが、今回はそこも含めて一人。自宅のスタジオも使って録音しています。70年代初めの機材事情を考えると画期的なことです。アルバムには本人による楽曲解説がついています。それによれば、まず各面にサブタイトルが付けられています。「キャッチーなメロディーの花束」には20分で出来たという大ヒット曲「瞳の中の愛」をはじめ、その名の通りポップな曲が並んでいます。そして「知性サイド」にはひねった知的な楽曲が並んでいます。ちなみに1枚に編集された日本盤にはこの面からの楽曲は一曲も含まれていませんでした。日本人には受けないと思われたんでしょう。ひねくれポップは素敵だと思うのですけどね。~続⤵️

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🎦Todd Rundgren - I Saw The Light (Remastered) (Stereo) - YouTube

次は「男の子はヘビーに」ということで、ハード・ロックが展開されています。ギター弾きまくり。トッド・ラングレンはもちろんギタリストとしても評価が高いわけですから、弾きたくなったんでしょう。「伝えられずにいられない」とか「小さな赤い灯」とかいい曲が並びます。そして最後は「新しい蛇皮ブーツがほしい」と題されたポップ・オペレッタで、ここのみスタジオ・ライブです。グリニッジ・ヴィレッジで知り合ったミュージシャン、ムーギー・クリングマンに人集めを任せて、主に近場にいた人に声をかけてセッションが行われました。近場にいた人というわりには、ミュージシャン仲間からのトッドの評価の高さを反映して、ブレッカー・ブラザーズリック・デリンジャーなんていう有名どころも多く参加しています。そして演奏はとにかくとてもリラックスした雰囲気で行われています。冒頭にトッドのデビュー前の音源を配してムードを高めます。これが伏線となって、ナッズ時代の楽曲のセルフ・カバーにして大ヒットした「ハロー・イッツ・ミー」が登場します。他の楽曲の中では「ダスト・イン・ザ・ウィンド」のリック・デリンジャーのギター・ソロも捨てがたいです。ポップな中にも必ず一癖も二癖もある、バラエティー豊かな楽曲の数々はトッドの真骨頂を示しています。一見、普通のポップなのに、いつまでも飽きないというのは稀有なことです。行き当たりばったりで作ったらしいこのアルバムはポップ・マエストロの大傑作だと思います。

Something / Anything? / Todd Rundgren (1972 Bearsville)