💿️Audio Only - 1983 - Pride - Robert Palmer - YouTube
いきなりですみませんけど、自分はロバート・パーマーのことをアメリカ西海岸のAORの人だとばかり思っていました。80年代初頭なので、自分にとってはイギリスのパンク/ニュー・ウェイブばかり聴いていた頃なのにです。恐らくその名前だと思います。ロバートもパーマーもおよそニュー・ウェイブらしくありません。むしろ、ジャクソン・ブラウンやジェイムス・テイラーに近い。それに、ロバート・パーマーはソウルフルな歌唱が持ち味で、確かにアメリカンなテイストも持ち合わせています。この作品はロバート・パーマーの何と通算7作目のアルバムです。ソロ・デビューは1974年のことですから、ほとんど年1枚のペースでアルバムを発表しています。しかし、彼が本格的にブレイクするのはこの次の作品ということになります。そういうわけで、このアルバムは下積み時代最後のアルバムと言ってもよいでしょう。爆発せんとするマグマが地表近くにまで上ってきていて、何かきっかけがあれば力を解き放つ、そんな予感がするアルバム。かというとそんなこともありません。いかにも飄々として、レコードの売上なんかに一喜一憂しないぞとでも言いたげな我が道ぶりです。そんな人はやはりカルトになります。本作品のリイシューは、カルト・ミュージシャンばかり扱っている米国のレーベルからの発表でした。前作ではニュー・ウェイブなテクノ・ポップの大立者ゲイリー・ニューマンを招いていましたが、今作ではルパート・ハインという曲者の参加を見ています。~続⤵️
🎦Robert Palmer - Pride - YouTube
ルパート・ハインはプログレからソウルからニュー・ウェイブから何でもこなす器用なプロデューサー型アーティストです。本作もシンセを使った当時の言葉でいうテクノによるダンス音楽です。ゲイリー・ニューマン的な陰鬱なニュー・ウェイブ感覚は影を潜めつつも、明るいあっけらかんとしたポップ色の中ににじみ出てきています。必ずしもからっとしているわけではなく、少しウェット。どの曲もコンピューターによるリズムが際立っています。機材は長足の進歩を遂げていて、チープな感覚ではなく、本格的な音色のリズム・サウンドです。しかし、ハウス以降の感覚とは微妙に違うところが面白いです。本作の冒頭にはカリプソ風味の強いタイトル曲が置かれています。面白いことにオリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」へのアンサー・ソングのようになっています。歌詞の中にはオリビアやジェーン・フォンダの名前も出てきてエクササイズに精出す女性を恨んでいます。そんな皮肉な感覚が全体に横溢しています。そこがロバートの真骨頂でしょう。カバー曲は二曲。一曲はシステムの「ユー・アー・メイド・フォー・ミー」です。システムはシンセ・ポップ・デュオでこの曲は前年のヒットです。て言うか、何となく皮肉めいた選曲の気がしませんか。また最後にはウルドゥー語による曲が入っています。本当にウルドゥーかどうかは分かりませんが、ペルシャ風のボーカル曲で、とりあえず自分はこの曲が一番好きです。彼の現代的なテクノ感覚が楽しめます。なんでしょ-ネー?🙄、掛け値なしにカッコいいのに、何とも変なミュージシャンです。
Pride / Robert Palmer (1983 Island)