montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ビヨンセ アイアム・・・ サーシャ・フィアース (2016―9

f:id:montana_sf16:20230904045601j:image f:id:montana_sf16:20230904053430j:image🎦Beyonce I Am... Sasha Fierce (Platinum Edition) - YouTube

世界を席巻する米国ショウビズ界でトップの座を争うスーパースターなのに、どこか不安げで自信のなさそうな佇まいの写真がジャケットを飾っています。このアルバムのジャケットにはさまざまな種類がありますが、自分はこのデラックス・エディションのものが一番好きです。この作品はビヨンセの3枚目のアルバム「アイ・アム・・・サーシャ・フィアース」です。ビヨンセにとって初めての2枚組です。LP以外には2枚組の意味がありませんけども、この当時からレコード盤の復権を予期していたのだとするとビヨンセは凄いです。2枚組の意味合いはそれぞれを異なる人格が作っているというところにあります。前半が傷つきやすい素のビヨンセ・ノウルズによる「アイ・アム」、後半は彼女が作り上げたステージ上の人格「サーシャ・フィアース」によるセルフ・タイトル盤です。ジャケット写真は「アイ・アム」のもので、ブックレットにある「サーシャ・フィアース」の写真はティエリー・ミュグレーやジャン・ポール・ゴルチェの衣装をまとった我々のよく知るスーパースター、ビヨンセの写真です。隣に来られたら緊張のあまり気絶しそうです。サウンドの方も二枚で区別しており、それはシングルもそれぞれの盤から1曲ずつ同時にカットするという徹底ぶりです。ビヨンセは二重人格であると自称する彼女の二つの側面を一緒に聴いてほしいとする主張を徹底していきます。

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f:id:montana_sf16:20230904053515j:image f:id:montana_sf16:20230904053609j:image f:id:montana_sf16:20230904053632j:image 
f:id:montana_sf16:20230904053554j:image🎦Beyoncé - Halo - YouTube

🎦Beyoncé - Single Ladies (Put a Ring on It) (Video Version) - YouTube

「アイ・アム」はそれまでのビヨンセには珍しく1970年代から80年代のR&B的な雰囲気のスローなテンポの楽曲が並んでいます。一方で「サーシャ・フィアース」は同時代の先端を走るいつものビヨンセらしいアップテンポの尖った曲が集まっています。プロデューサーには20人を超えるアーティストの名前が並んでいます。ジョン・レジェンドの「オール・オブ・ミー」で知られるトビー・ガッド、後にアデルの「21」に深く係わるライアン・テダー、トリッキー・スチュワート、スターゲイトなどなどみんなヒットメイカーです。ただし、それぞれが両極端というほどに違っているわけではありません。後にビヨンセはサーシャ・フィアースを克服することになるのも道理で、はた目からするとどちらもビヨンセ本人に間違いありません。スーパースターの葛藤であったということでしょう。それほど変わらないというのは、どちらもビヨンセの圧倒的な歌唱力に支配されているからです。年寄りからすれば前半のストレートなR&Bバラード路線はまさに耳に至福をもたらします。しみじみとビヨンセの歌声に聴き惚れてしまいます。やっぱり凄い。一方、後半は先鋭的な分、むしろ安心して聴いていられるビヨンセです。シングル対決ではサーシャに軍配が上がりました。「イフ・アイ・ワー・ア・ボーイ」を押さえて「シングル・レディース」が全米1位に輝いたんです。ただしロング・セラーは前半からの曲「ヘイロー」です。この作品はもちろん全米1位、世界で800万枚を売り、グラミー賞でも10部門にノミネートされ、年間最優秀アルバム賞、「ヘイロー」が年間最優秀レコード、「シングル・レディース」が年間最優秀楽曲賞など6部門を受賞しました。まさに2008年を代表する作品です。

I Am... Sasha Fierce / Beyonce (2008 Music World)