montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ジム・クロウチ ジムに手を出すな (2012―1)

f:id:montana_sf16:20220503180534j:image f:id:montana_sf16:20220920014907j:image
 f:id:montana_sf16:20220503180605j:image💿️Jim Croce - You Don't Mess Around with Jim Album - YouTube

ラジオでビルボードのチャート番組を聴き始めた頃、ジム・クロウチの曲が何曲もトップ10入りしていました。艶っぽい声で歌う、この聞きなれない名前の歌手はいったい何者だろうと思ったものですが、事情を聞いてびっくり、何とも言えない気持になりました。この作品はフィラデルフィア生まれのシンガー・ソング・ライター、ジム・クロウチの実質的なデビュー・アルバムです。それまでに結婚祝いで自主制作したアルバム、夫婦デュオで制作したアルバムがあり、本作品でようやくメジャー・デビューを果たしました。本作を発表した時、ジムは30歳を目前にしていました。今の感覚からすれば大して遅くもありませんが、当時は遅咲きの苦労人と呼ばれていました。そう言えば確かに彼の容貌は苦労人のそれです。道路工事をしたり教職についたりというキャリアも苦労を主張しています。ジムはプロダクション・チームのテリー・キャッシュマンとトミー・ウェストのもとでアルバムのデモを完成させました。多くのレーベルに発売を断られたものの、たまたま知り合ったというABCレコードと契約に至り、1972年4月に本作品が発表されました。驚いたことにアルバムはヒットしました。シングル・チャートでもアルバム・タイトル曲がトップ10ヒット、続く「オペレーター」も17位まであがりました。無名の新人のフォーク・ロックであることを考えると確かに驚きのパフォーマンスです。

f:id:montana_sf16:20220920063502j:image f:id:montana_sf16:20220920063551j:image f:id:montana_sf16:20220920063607j:image 
f:id:montana_sf16:20220920063638j:image

ここからが少しややこしい。ジムはこの後セカンド・アルバムを発表し、そこから「ルロイ・ブラウンは悪い奴」が全米1位となるなど順調に人気を獲得し、全米を飛び回ってコンサートに明け暮れます。しかし3枚目のアルバムの発表を目前に控えて飛行機事故で命を落とします。本作品の発表からわずか1年半後のことです。その悲劇に直面したファンの間でアルバム中の一曲「タイム・イン・ア・ボトル」( 🎦Jim Croce - Time in a bottle - 1973 - YouTube )が輝きを増しました。ファンの声に押されてシングル・カットしたこの曲は全米1位の大ヒットとなり、アルバムも遅まきながら1位を飾りました。「タイム・イン・ア・ボトル」はクロウチ夫妻のアルバムが売れず、キャリアを見直す時期に差し掛かっていた1970年に奥さんが妊娠していることが発覚し、生まれてくる子のためにも音楽業界で頑張る決心をした、その夜に書かれた曲です。♪もしもボトルに時間を貯めておけるなら♪毎日を貯めておいて君と一緒に使うだろうという美しい愛の歌です。ハープシコードが使われたアルバムの中では少し異色の曲ですが、名曲は名曲、ファンの熱い声がもたらした大ヒットです。アルバムでは、ジムがボーカルとリズムギター、ジムと運命を共にしたモーリー・ミューライゼンがリード・ギターを演奏しており、ともに基本はアコースティックです。ここにベースとドラムというシンプルなバンド形式で、ジムの歌を聴かせる仕様です。太めの力強い声に強靭なリズムを感じるところがジムの魅力です。シンプルなだけにいつまでも古くなりませんからいまだに根強い人気を誇っているのも頷けます。タイトル曲も含めて名曲の宝庫ですし、いつまでも本作の輝きが失われることはないでしょう。

You Don't Mess Around With Jim / Jim Croce (1972 ABC)

※参考f:id:montana_sf16:20220920065206j:image💿️ジム・クロウチJim Croce/アイ・ガッタ・ネイムI Got a Name (1973年) - YouTube