montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ザ・ビートルズ モノ・マスターズ (2021―9)

f:id:montana_sf16:20231122181339j:image f:id:montana_sf16:20231122181346j:image💿️The Beatles Mono Masters Disc 1 - YouTube

自分がレコードを聴きはじめたのはすでに1970年代でしたからもはやステレオが主流でした。とはいえステレオ再生装置は家具に分類される重厚長大なものでしたから、ステレオのありがたみというものをかろうじて感じることができました。それではそれ以前は何が主流かといえばモノラル再生装置です。スピーカーが一つしかない。したがって、レコードはモノラル録音で発表されるのが一般的でした。ステレオ版は当初はマニア向けとして細々と発売されていたにすぎません。ビートルズのキャリアで言えば、ステレオ・オンリーとなったのはようやく「アビー・ロード」からです。それまではモノラルとステレオが並存する形です。もっとも、モノラル録音が壊滅した後はステレオ盤のみの発売となります。自分などはこのステレオ盤しか知りません。ビートルズのCD化計画が一段落すると、ライヴ音源がほとんど残されていない彼らの音源をさらに掘っていくことは難しくなっていきます。これだけマニアが多いのに残念なことだと思っていたら、モノラル盤発掘計画が始動します。モノ・ボックスの登場です。さすがにビートルズは別格です。モノラルとステレオの併存は1960年代のアーティスト全般に言えることなのに、こうしてモノラルに特化したプロジェクトが進められたのはビートルズだけでした。後にストーンズも真似しますけども、それもビートルズあってこそ。

f:id:montana_sf16:20231123103537j:image f:id:montana_sf16:20231123103631j:image f:id:montana_sf16:20231123103608j:image 
f:id:montana_sf16:20231123104246j:image f:id:montana_sf16:20231123104406j:image🎦The Beatles - She Loves You [Come To Town, ABC Cinema, Manchester, United Kingdom] - YouTube

🎦The Beatles - I Feel Fine - YouTube

本作品はその「ビートルズ・モノ・ボックス」に収録された一枚「モノ・マスターズ」です。最初のCD化計画に際して、英国オリジナル・スタジオ・アルバムと「マジカル・ミステリー・ツアー」を公式盤とし、そこから漏れた曲を集めて作られた「パスト・マスターズ」のモノラル盤です。ただし、収録曲には若干の異同があります。それはキャリア後半になるとステレオが主流となり、モノラル・ミックスが残されていない曲があるからです。「ジョンとヨーコのバラード」、「オールド・ブラウン・シュー」、「レット・イット・ビー」が外されました。ビートルズの英国盤アルバムの中でモノラルが存在しないのは「イエロー・サブマリン」、「アビー・ロード」、「レット・イット・ビー」の三枚です。このうち「イエロー・サブマリン」収録の新曲4曲はモノラル・ミックスがあり、EPで発売する計画がありましたが陽の目をみていません。本作品にはその4曲のモノラル・ミックスが初めて収録されました。何やらややこしい話ですが、とにかくビートルズのモノラル・ミックスを網羅しようという姿勢が貫徹していて感動します。やはりビートルズは大切にされています。さて、代表曲を網羅しているわけでもなく、ベスト盤でもない落穂ひろいの「モノ・マスターズ」ですが、通して聴いているとビートルズの濃密な7年間を俯瞰することが出来て、思いのほか面白いです。モータウンやロックンロールへの素直な憧れからスタジオの魔術師へ。特にシングルB面曲が面白い。インド趣味も「インナー・ライト」に極まりますし、締めくくりがはちゃめちゃな「ユー・ノウ・マイ・ネーム」であることも面白い。わずかに7年間。その間に光の速さで変化したビートルズの真骨頂が図らずも現れています。侮れず!

Mono Masters / The Beatles (2009 Apple)