montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ブルー・オイスター・カルト 狂気への誘い (2021―7)

f:id:montana_sf16:20240116103228j:image💿️Blue Öyster Cult (album) (1971) - YouTube

ブルー・オイスター・カルトの衝撃的なデビュー作です。原題はバンド名なのですが、邦題は「狂気への誘い」とされました。ニューヨーク出身のBOCはイギリスのブラック・サバスと並び称されるヘヴィ・メタル・バンドであり、オカルト・バンドであることを邦題が表現しています。BOCは米国のロック雑誌クロウダディのライターをしていたサンディ・パールマンがミュージシャンを集めて作ったバンドのように語られますが、実際にはすでにバンド・メンバーが集まって一緒に演奏していたところにパールマンが目をつけたということのようです。パールマンは仕掛け人らしさを発揮し、ソフト・ホワイト・アンダーベリーと名乗っていたバンドはほどなくエレクトラ・レコードとのディールを成功させます。しかし、アルバムを制作したものの、レーベル側はこれを発売しませんでした。1968年のことです。バンドはボーカリストを入れ替え、ベーシストを加えて1971年初めにデモ・テープを作成するとこれがコロンビア・レコードのA&Rだったマレイ・クルーグマンの目に留まり、無事にコロンビアと契約を交わすことができました。そうして1972年1月、バンド名をブルー・オイスター・カルトとして、本作品を発表することとなりました。バンド名にはOの文字にウムラウト記号をつけ、さらに変形十字のシンボル・マークを使用するなど文学的かつオカルト的なイメージをぷんぷんさせていました。  ~続⤵️f:id:montana_sf16:20240116104544j:imagef:id:montana_sf16:20240116104854j:image f:id:montana_sf16:20240116104910j:image f:id:montana_sf16:20240116104922j:image🎦Blue Oyster Cult - Then Came The Last Days of May - Live in Paris 1975 - YouTube

こうしたイメージ戦略は、バンドのマネジメントを担当しただけではなく、文学的な歌詞を提供し、さらにクルーグマンと共同でプロデューサーまで務めたパールマンによるところが大きいと思います。時代を少しばかり先取りする見事な戦略です。バンド・メンバーはリード・ギターのバック・ダーマことドナルド・ローサー、ギターとキーボードのアラン・レイニア、ドラムのアルバート・ブーチャードが当初からのメンバー、新たに入ったのがベースのジョー・ブーチャードとボーカルのエリック・ブルーム、これで5人組です。作曲のクレジットはほぼ万遍なく5人に割り振られており、比較的民主的なバンドであるように思います。よく比較されるブラック・サバスのようにボーカルとギターが突出して個性的というわけではなく、バンドが一体となったサウンドがBOCの持ち味です。そのため、アルバム・タイトルや各楽曲につけられたおどろおどろしい邦題とは裏腹にオカルト的な雰囲気はさほどありません。とはいえ、パールマンが中心となっている歌詞の世界は暴力や殺人を主題にしていたりして、その文学的な世界が高く評価されています。やや引き気味に録音されたサウンドヘヴィ・メタルと形容されましたが、後のヘヴィ・メタルとは一線を画す、この時代ならではのハード・ロックサウンドです。全体にスピード感があって爽やかなロックで、かろうじてチャート入りというのが嘘のような見事なアルバムです。個人的には「5月の最後の日」や「汚れた天使」のようなスローな曲が好きです。彼らの凄味が堪能できるように思います。このあたりのサウンドは爽やかに悪魔的が勝っているかもしれません。もっともっと高く評価されてよいアルバムだと思います。

Blue Öyster Cult / Blue Öyster Cult (1972 Columbia)