💿️King of Limbs FULL ALBUM HQ [Radiohead-2011] - YouTube
本作の内ジャケットには、ドリュー・バリモアへの謝辞が特筆されています。あの女優のバリモアだと思われます。どうやら彼女の豪邸で本作の一部が制作されたのではないかと取沙汰されているようです。真実は分かりませんが。そんなお茶目な話題もありつつ、本作品はグラミー賞に5部門でノミネートされるなど高い評価を得ています。また、英米で1位を逃したものの、LPレコードがかなり売れるなど、セールスの面でも話題に事欠きません。「ザ・キング・オブ・リムス」は英国ウィルトシャーにある樹齢1000年のオークの木に由来した名前だそうです。アートワーク担当のスティーヴ・ドンウッドが本作のサウンドを聴いてイメージした「色とりどりの巨大な樹木の聖堂」とも合致する名前です。前作が比較的まとまった「OKコンピューター」的な作品でしたから、新作は少し実験的なものになるのではないかと期待されていました。結果は、ある程度は期待通りだったと思います。ジャケット通りに深い怪しい森のような音楽です。多くの人が指摘する通り、前半部分には当時英国で流行っていたダブステップを思わせるサウンドが盛り込まれています。リズムの感覚がロックというよりも、クラブ・ミュージックのそれです。レディオヘッドならではの感覚でしょう。しかし、そんなサウンドなのに、冒頭の一曲は「ブルーム」です。~続⤵️
🎦Radiohead - The Daily Mail - O2 Arena London - 08.10.12 - YouTube
一般名詞なので特につながりはないのかもしれませんが、ニルヴァーナの「イン・ブルーム」を想起してしまいました。レディオヘッドは英国のニルヴァーナと言われていたこともありますし。この曲の歌詞も巨大なカメが出てくるなど面白いです。レディオヘッドはトム・ヨークの書く歌詞も大いに評価を得ており、本人たちも自覚的です。この日本盤CDに付属のブックレットには日本語訳詞が掲載されています。それも一曲一ページで背景にはジャケットと地続きの怪しい木々が描かれています。英語による原詩は掲載されておらず、日本語詞の掲載はトムの指示であるようです。この歌詞をもとに語り始めるとキリがないことでしょう。さて、前半部分が新しいリズムを取り入れた比較的躍動感にあふれた曲調なのに対し、後半部分はアンビエントとまではいかないまでも、6曲目の「コーデックス」の優美なピアノに代表される優しいサウンドが奏でられます。前半と後半をつなぐ曲が「ロータス・フラワー」です。全体に北欧の神話を題材にしたと言われる中で、蓮の花はインドやベトナムなどアジア的なイメージが強いです。前半と後半の折衷的なこの曲はプロモーション用にシングル化されています。自信作でしょう。新しいサウンドにも目配りを欠かさず、レディオヘッド・サウンドを進化させていく姿はとても眩しいものがあります。レディオヘッドのアルバムがもう一枚増えたというだけで十分な価値があります。それも半歩前に進んでいるところが素晴らしい。
The King Of Limbs / Radiohead (2011 XL)