montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

レディオヘッド インレ インボウズ (2016―10)

f:id:montana_sf16:20231011180819j:image f:id:montana_sf16:20231011182508j:image🎦In Rainbows - YouTube

「イン・レインボウズ」は前作から4年という長い年月を経て発表されました。レディオヘッドのキャリアの中では最長のインターバルです。ただ、その間、バンドはツアーにも出ましたし、メンバーはソロ活動に勤しんだりもしていて、決して休養期間だったわけではありません。ところで、この作品は公式ホームページでダウンロード販売されました。しかも値段はリスナーが勝手に決めるという斬新さ。ダウンロード販売は自らの公式HPですから、レコード会社やプロダクションを通していない。そこが目立ちました。さまざまな理由が語られていますが、新作が発表前にネット上にリークされる被害に遭うことが多くなった状況を何とかしたいということと、メディアでの報道や評論などによる先入観を排除した形でファンに届けたいということが動機となっていた模様です。事前リークを排除するには、音源完成からリスナーに届くまでの間を極力短くすることが有効です。HPダウンロードは正解です。しかし、レコード会社は単なる中間搾取団体ではありませんから、彼らはさぞかし困ったことでしょう。先入観なしは難しいです。そもそも現代最高のロック・バンドの一つであるレディオヘッドが発表する以上、本作だけの問題ではなく、メディアによるレディオヘッド像に加え、彼らの過去作品がすでに先入観を形作っています。自分なんかはその先入観から比較的自由です。つまり、それは老人力です。~続👇️

f:id:montana_sf16:20231011183012j:image f:id:montana_sf16:20231011183927j:image f:id:montana_sf16:20231011183912j:image f:id:montana_sf16:20231011183953j:image 
f:id:montana_sf16:20231011183002j:image🎦Radiohead - House of Cards - YouTube

若い頃に聴いたものは隅々まで覚えていますが、90年代以降のものはどんどん忘れていきます。ですから、毎回新鮮に聴けます。良いんだか悪いんだか。ま、とりあえずポジティブに捉えましょう。前置きが長くなりましたが、レディオヘッドの渾身の一枚はエレクトロニクスの使用が抑えめで、「OKコンピューター」の頃のサウンドに回帰したと言われています。前作にもその気配はありましたけども、こちらはより徹底しています。とはいえ、一度エレクトロニクスを通過した後のバンド・サウンドは違います。エレクトロニクスは楽器だけではなくて、サウンドシステムそのものですから、生楽器だってそこを通過すると音の感触を変えることができます。そんなわけで、ギターの音色から何から、一曲一曲極めて丁寧に音が組み立てられています。いい音が鳴っているので、自ら販売しておきながら、ダウンロードよりも音質の良いCDで聴いて欲しいとメンバーが言うのも分かります。制作には長い時間がかかっているようです。大胆なアイデアというものは見られませんが、その分細かいところにこだわっている様子がうかがえます。ストリングスの重ね方も絶妙ですし、楽器のバランスも凄い。何だか感心しながら聴いてしまいます。さすがはレディオヘッドです。もはや高い高度で巡航飛行を続けているように思います。大御所の佇まいが感じられます。本作は英米で1位を獲得し、日本でもかなりのヒットを記録しています。流石です、唸らされます。

In Rainbows / Radiohead (2007 XL)