montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

T.レックス 電気の武者 (2011―9)

f:id:montana_sf16:20220915210615j:image f:id:montana_sf16:20220916075626j:image💿️Electric Warrior - YouTube

マーク・ボランが「ヒット曲を書くコツをつかんだ」というのは嘘ではありませんでした。神が降りてきて以来、初めてのアルバムは期待通り、イギリスでは大ヒットを記録しました。何週間もチャートの首位を獲得し、1971年に一番売れたアルバムとなります。さらに、化粧をしたグラマラスな容姿の男たちが演奏するロック、すなわちグラム・ロック・ムーブメントの先頭に立ち、一世を風靡したことになります。第二のビートルズとまで言われました。一方、アメリカでも初めてトップ40入りし、シングル・カットされた「ゲット・イット・オン」はシックの曲と題名がかぶるとして、「バング・ア・ゴング」に題名を変更されたものの、トップ10ヒットを記録します。しかし、大変残念なのは、米国でのシングル・ヒットはこの曲のみ。アルバムもこのアルバムと次のアルバム以外は見るべきチャート・アクションがない、ということで、アメリカでは一発屋状態になってしまいました。これほど大西洋の両岸で評価の落差が激しい人たちもそういません。アルバムは大変充実しています。彼らと共に成長してきたプロデューサーのトニー・ヴィスコンティにも神が降りてきたのか、初期の頃とは全く違うサウンド・プロダクションを見せます。自分が持っている30周年記念盤にはそのトニーがライナー・ノーツを書いていて、楽しげなT.レックスの録音風景が描かれています。加えて、シングル曲にストリングスが入っているのはゲン担ぎだとか、ドラムスが同じ部屋で一緒に演奏しているので、他の楽器のパートにドラムの音が漏れているだとか、チェロとバスーンの組み合わせが使われているとか、面白い裏話満載です。

f:id:montana_sf16:20220916080906j:image f:id:montana_sf16:20220916081033j:image f:id:montana_sf16:20220916081012j:image 
f:id:montana_sf16:20220916081133j:image f:id:montana_sf16:20220916083001j:image🎦Get It On - Marc Bolan & T. Rex - YouTube

T.レックスはこのアルバムから四人組になり、普通のロック・バンドの形態に近くなりました。彼らの音楽を特徴付ける奇妙なストリングスも全開ですし、前作では控えめだったコーラス・マスターのフロー&エディもばりばり活躍しています。ゲスト陣も多彩で、カラフルな音になりました。ティラノ時代とはかなり趣の異なるブギーなロックが展開される一方で、「ライフ・イズ・ア・ガス」や「モノリス」といったティラノ時代を少し思わせないでもない曲もあります。音の表情は変わっているものの、全体を覆う薄荷のごとき繊細なキラキラ感は昔から変わらないようです。文句なく楽しいのですが、裏返すと、より世俗的になってきただけに、存在一般の根源的な寂しさのようなものがほの見えるところが素敵です。実は最近、T.レックスばかり聴いているのですが、一向に飽きません。大昔から大好きなバンドで、今でもとても大切にしたいバンドです。素晴らしいアルバムですので、是非聴いてみてください。

Electric Warrior / T. Rex (1971 Fly)