montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ジョン・レノン ヌートピア宣言 (2017-8)

f:id:montana_sf16:20220422151958j:image f:id:montana_sf16:20220422152004j:image
f:id:montana_sf16:20220422152031j:image  Mind Games - YouTube

巨大なヨーコを背景に、ちっぽけなジョン・レノンが赤子のように弱々しく、しかし精一杯虚勢をはって佇んでいます。このジャケットが多くのことを物語っています。ここまで自らの内面をさらけ出す人も珍しいです。さすがはジョン・レノンです。米国政府当局につき纏われ、さらには国外退去命令を突き付けられて、ジョン・レノンは心労のあまり、生活が荒れ、ついにはヨーコからも距離を置かれてしまいます。ここらで一度距離を置いた方がジョンのためにも良いというヨーコさんの判断でもありました。こ‐いう時に根っからのミュージシャンは音楽活動をするものです。それこそが精神の崩壊を食い止める唯一の手段でしょう。本作品は「政治狂いした精神異常者からミュージシャンに立ち戻るあいだのレコード」だと本人も語っています。本作品は演奏しているミュージシャンがジム・ケルトナー以外は前作とはがらりと変わり、米国の有名なスタジオ・ミュージシャンが起用されました。デヴィッド・スピノザ、ケン・アッシャー、ゴードン・エドワーズ、マイケル・ブレッカー、スニーキー・ピート、リック・マロッタ。この頃、ニューヨークで制作された気の利いたレコードの実に多くが彼らの演奏を使っています。超一流の有名ミュージシャンばかりです。前作のエレファント・メモリーは彼らに比べればアマチュアのようなものでしょう。そして、外部プロデューサーも起用しておらず、ヨーコも不在ということで、ジョンのセルフ・プロデュースとなっています。

f:id:montana_sf16:20221009151240j:image f:id:montana_sf16:20221009151259j:image f:id:montana_sf16:20221009151345j:image 
f:id:montana_sf16:20221009151715j:image f:id:montana_sf16:20221009151323j:image

🎦MIND GAMES. (Ultimate Mix, 2020) - John Lennon and The Plastic U.F.Ono Band - YouTube

このセルフ・プロデュース、アルバム制作の事情から分かるように、この当時、ジョンは自信を喪失していたため、とても控えめな仕事ぶりです。「イマジン」を継承する理想の国「ヌートピア」建国宣言までなされていますけれど、「とくに深いメッセージは何もない」と本人がコメントするように、政治的な主張も控えめです。むしろ、♪あーいすいません、ヨーコさん♪という世界観です。要するに鬼気迫る傑作というわけでもなく、何から何まで普通の作品です。そこがこのアルバムの一番の魅力です。際立った楽曲があるわけではありませんが、さすがはジョン・レノンですから、彼の凡庸な曲は普通の人なら傑作と言われてもおかしくない。しかし、レノン水準では普通。演奏も冒険があるわけでもなく、普通に安心感のあるタイトな引き締まった手堅いものです。達者なスタジオ・ミュージシャンたちの気持ちの良い仕事ぶりが堪能されます。その意味でも普通にいいアルバムです。「マインド・ゲームス」での♪イエス・イズ・ジ・アンサー♪とか、「あいすません」、「アイ・ノウ」に「ユー・アー・ヒア」とヨーコとの思い出と謝罪をこれでもかこれでもかと繰り出すジョン。そこが普通と少し違うところですが、そこまで過激ではありません。むしろ微笑ましいです。これでいいんです。ヨーコは本作でのジョンを「世界一のシンガー」だと絶賛しています。ま、もともとジョン・レノンは最高のシンガーなんですから、大傑作でなくてもいいので、こうして普通の作品を作り続けてくれていれば、それでよかったのに。。。ホントに 😔