montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ピンク・フロイド 鬱 (2012-3)

f:id:montana_sf16:20221107211716j:imagef:id:montana_sf16:20221107210401j:image💿️A Momentary Lapse Of Reason - Full Album [REMASTERED] - YouTube

ピンク・フロイド復活です。復活第一作のアルバム・タイトルが「鬱」。今ではこの邦題は取り下げられていますけど、当初は「鬱」でした。原題とはかけ離れていますが、ピンク・フロイドのイメージには合っています。「鬱」という漢字は大人気ですし。このフロイドにはロジャー・ウォーターズはいません。ピンク・フロイド名義を誰が使うか訴訟に発展しましたが、デヴィッド・ギルモアが勝ちました。先にバンドからの脱退を表明してしまったことがウォーターズの敗因ですが、第三の男ニック・メイソンの役割も見逃せません。シド・バレットなき後は、ピンク・フロイドは圧倒的にロジャーのバンドでした。そんな彼が抜けましたから、本来は名前を変えてもおかしくない。ジョイ・ディヴィジョンニュー・オーダーに、ニルヴァーナフー・ファイターズに変ったようなものです。しかし、彼らは圧倒的に巨大な大看板となっていましたから、そうはいかない。林家三平の名前は絶やしてはいけない。待っていてくれるファンがいる限り。そんな心持でしょう。別に名前にこだわる人もいないのではないかと思いきや、名前は大事です。前作は実質的にウォーターズのソロ作品で、本作品は今度はギルモアの実質ソロ作品です。二人ともソロ名義だと大して売れませんけども、ピンク・フロイドの名前で出した途端に爆発的な大ヒットです。ニック・メイソンのおかげでなければ名前の力です。

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前作から4年、訴訟の果てに満を持して発表された「鬱」はギルモアとメイソンに少しだけリック・ライトが加わった編成になっています。しかし、実際にはギルモア以外の二人はあまりレコーディングにかかわっておらず、代わりに多彩なゲストが参加しています。実質的にギルモアのソロ作品と言われる所以です。プロデューサーにウォーターズ一味かと思われていたボブ・エズリンとギルモアの二人、曲作りも全曲ギルモア単独、もしくは外部から主に作詞に呼ばれた助っ人との共作になっています。共作者には元スラップ・ハッピーのアンソニー・ムーアやロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラなどの名前が出てきます。意外ですけれどいい人選です。ゲスト・ミュージシャンも多彩です。ベースはトニー・レヴィン、ドラムにはジム・ケルトナーカーマイン・アピス。こうした布陣によって、本作品には「ザ・ウォール」より前のピンク・フロイドサウンドを思わせる奥深く広がったサウンドによるミディアム・テンポの楽曲が続きます。個人的にはえんやこらサウンドの「時のない世界」と、マンザネラが係った「理性喪失」を推します。そしてやはりギルモアのギター。何ともいえない丸みを帯びた音色が哀愁を漂わせます。ウォーターズも切り捨てられなかったギルモアのギターはもわーっとしたドローンとともにピンク・フロイドサウンドの象徴なのでした。ピンク・フロイドを継いだ決意を感じます。ところでジャケットです。これはCGでも合成でもなく、本当に浜辺に700ものベッドを並べて撮った画像だそうです。ヒプノシスのストーム・トーガソンの傑作です。何でも包むクリストのような大規模な作品ですから、ぜひ現場で見たかったです。感動したかった。😔

A Momentary Lapse Of Reason / Pink Floyd (1987 EMI)