🎦Queen I (the debut album 1973) - YouTube
デビュー当時のクイーンは、「ツェッペリン、D・パープルを生んだブリティッシュ・ロック界期待の新星」でした。あるいはバカテクの新人バンドとして話題になりました。後のクイーン物語を知っている自分たちからすれば随分とイメージが異なります。しかし、フレディー・マーキュリーさんの追悼コンサートでは、ハード・ロック系のバンドばかりが出演していましたから、欧米と日本ではクイーン物語の受け止め方が随分違うのかもしれませんネ。ちなみに、ギネスのポピュラー音楽百科では、グラム・ロックとハード・ロックの融合と書かれています。このクイーンのデビュー作を聴いていると、華麗なコーラス・ワークがグラマラスな色を濃厚に宿していますから、ま、それもありです。クイーンは1970年に結成され、71年からフレディー・マーキュリー、ブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラーの不動の四人組となりました。ロンドンのスタジオで録音機材テストのデモ・バンドとして働きながら、スタジオでのデモ・テープ制作を始めます。そうして、スタジオの空き時間を使って制作されたアルバムがこのデビュー作です。スタジオ・ワークを駆使したサウンドの出自はそんなところにあったんですね。スタジオ機材とは馴染みが深いわけです。さて、このデビュー作ですが、すでに、そのジャケットには大スター然としたフレディーが描かれています。最初から、これくらいの気概でいなければスーパースターにはなれません。そのオーラは他の新人バンドとは違っていました。そのオーラで、当時はナンバーワン音楽誌だった「ミュージック・ライフ」の東郷かおる子編集長を虜にし、徐々に日本の若い女の子たちに浸透していきました。東郷さんがライナーで書かれている通り、「何か違う」バンドでした。自分は彼らを初めて見たのは「炎のロックンロール」だったと思います、テレビ番組でした。やはり何か違うオーラを感じたことを覚えています。個人的にはその何かを確かめたくて初来日公演(武道館)にも足を運びました。
🎦Queen Keep Yourself Alive (Live Rock Montreal HD) - YouTube
いかにロック好きとは言え、ほとんどのグループは後追いでしたので、ほぼリアルタイムで知ったクイーンに対する思い入れは強いです。このデビュー作を聴いてみると、縦横無尽にカラフルな音を奏でるブライアンのギター・オーケストレーションと、フレディー、ブライアン、ロジャーによる重厚なコーラス・ワークがすでに確立していることが分かります。ブリティッシュ・ハード・ロックの正統派サウンドに、その二つの要素が加わり、さらに唯一無比のフレディーの粘っこいボーカルが重なってクイーン・サウンドが出来上がっています。ここでは曲調はまだまだハード・ロック一辺倒ではありますが。のちのゴージャスなサウンドに比べると、機材の問題もあるのでしょうけれど、まだまだ荒削りな音になっています。しかし、聴けば聴くほど味わい深いクイーンのサウンドはデビュー作にしてすでに完成されています。かっこいいサウンドです。