montana_sf16’s diary

気まぐれではありますが「過去記事」を少しずつ掲載していきたいと思います。※アルバム紹介について。⇒ バンド名~アルバムタイトル~(掲載年月) ←この順番になっています。何かご覧になりたいもの等ございましたら受け付けますのでどうぞよろしくお願いいたします。🙇‍♂️

ローリング・ストーンズ 12X5 (2016―11)

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f:id:montana_sf16:20230718065836j:image💿️♫ 👅 The Rolling Stones - The Rolling Stones 12 X 5 (1964) 🎸 full album - YouTube

ローリング・ストーンズは、米国でアルバムを発表する前に米国ツアーを敢行します。しかし、さすがに知名度は低く、行く先々で会場は半分も埋まらず、閑古鳥ばかりが鳴いていたようです。ストーンズにもそんな時代がありました。マネージャーのアンドリュー・オールダムは自らの失敗を取り戻すべく、ストーンズの面々の信頼をつなぎとめる方策として、ブルースの聖地チェス・スタジオでの録音を企画します。アポなしの突撃はフィル・スペクターの尽力で成功しました。そして、チャック・ベリーやマディー・ウォーターズ、ハウリン・ウルフなどが演奏した同じ部屋で、レジデント・エンジニアのロン・マロなど「どうしたら良い音を手に入れられるか知っている」人々と協働したことはストーンズを大きく成長させました。ミック・ジャガーは「ニュアンスが聴きとれて、それがインスピレーションになるから、演奏に本当に影響するんだ」と後にインタビューで語っています。聖地巡礼の旅はある種の通過儀礼です。巡礼することで一皮むけるわけです。そのセッションの模様は英国では「5X5」と題したEPで発表されました。しかし、バンドが決定権を持たなかった米国ロンドン・レコードでは、EPと英国で発表予定だったセカンド・アルバムからの曲などを交えて「12X5」として発表されました。このアルバムです。

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「5X5」の曲は5曲、チャック・ベリーの秀逸なカバー「アラウンド・アンド・アラウンド」など3曲のカバーに加えてオリジナルが2曲あります。一つはチェス・スタジオの住所をタイトルにしたインストゥルメンタル曲です。何と無邪気な。微笑ましいです。「5X5」には含まれていないものの、英国で初の1位に輝いた「イッツ・オール・オーヴァ・ナウ」もチェスでの録音です。ボビー・ウーマックがボーカルを務めるヴァレンティノズの当時最新のヒット曲ですが、これをストーンズがカバーして原曲を超えてしまいました。さらに後々まで彼らの代表曲となる「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」も収録されています。これはオルガンによるイントロで始まる英国録音バージョンです。ためを利かせたミックのボーカルに震えます。前作ではビル・ワイマンがコーラスをつけていましたが、ここからはキースになります。「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」のコーラスなどとてもカッコいいです。やはりキースのボーカルはポップな持ち味もあって素敵です。作品としては、チェス・セッションでまとめられていれば、なおのこと素晴らしかったと思いますが、それはそれ。自分は、「アンダー・ザ・ボードウォーク」などのコーラス・グループのような曲もあって、ストーンズの更なる意欲が感じられるいい作品だと思います。ところで、ストーンズ関係の数多い嫌な話の中でも極めつけはイアン・スチュワートがルックスの関係でメンバーから外されたという話です。この作品での彼のピアノやオルガンによる耳を奪う活躍ぶりを目の当たりにすると、本当にそれで良かったのか?と、しみじみ思います。

12x5 / The Rolling Stones (1964 London)